J3発足3年目で初めての、福島と秋田のリーグ開幕みちのくダービーは1-1で引き分けた。被災地の思いを間近にする両チームにとって、東日本大震災から5年と2日で迎えた特別な開幕戦。後半44分に秋田が先制し、ロスタイムに福島が追いつく劇的な展開で、ともに最後まで諦めない姿勢を示した。

 昨季まで2年連続リーグ7位の福島と同8位の秋田とのJ3みちのくライバル対決。ともにチーム初の開幕白星は逃したものの、ともに背番号7の選手がゴールを決め、勝ち点1を分け合ってリーグ3年目のスタートを切った。

 最初に仕掛けたのは秋田だった。前半はシュート数で圧倒。だが、同14分にはミドルシュートがクロスバーを直撃するなど決め手を欠いた。スコアレス・ドローかと思われた後半44分。左からのパスをFW前山恭平(28)が左足で合わせて均衡を破った。昨季、福島戦で計10ゴールの前山は「フリーだったので蹴った瞬間に入ると思った。今年は11点以上取りたい」と語る。

 万事休すかと思われた福島もホームの意地を見せた。1点を追うロスタイム。右からのロングスローのこぼれ球に、今季から左サイドバックの茂木弘人(32)が反応。「負けられない試合で最低限の結果は出せた」と起死回生の1発を振り返った。福島・栗原圭佑監督(42)は前日12日、ユアテックスタジアム仙台でJ1仙台-鹿島戦を観戦。やはり被災地の思いを背負って戦う姿に共感し、最後まで全力を出し切ることを選手に求めた。3年連続の開幕黒星を回避した同監督は「選手は最後まで諦めない気持ちをピッチで表現してくれた。負けなかったことは、結果的にも1歩前進」と勝ち点1を評価した。

 栗原監督と同年齢の秋田・間瀬秀一監督(42)も「これが現実。1対1は妥当な結果で今後もライバルであり続ける」とみちのくダービーを盛り上げる心意気を示した。【佐々木雄高】