川崎FのMF中村憲剛(35)が、5年ぶり4度目となるマルチ弾を決めた。前半9分にFKを直接決め、後半21分にはCKの流れからミドル弾を蹴り込んだ。前節に続く2戦3発とし、4-0で甲府に快勝。チームは首位を守り、視察した日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(63)に戦いぶりを絶賛された。

 ハリルホジッチ監督の目の前で、主役の座を奪ったのはFW陣ではなくベテランの中村だった。11年5月のG大阪戦以来の複数得点は、ともに技ありスーパーゴール。試合後に大勢の報道陣に囲まれ「これはストライカーは気持ちいいよね」とFW気分を満喫し、笑顔を見せた。

 1点目のFKは練習と同じ角度と場所で、入る予感があった。2点目はショートコーナーから。クロスを警戒した守備陣の位置取りを確認し、ニアが空いたのを見逃さずに右足を振り抜いた。前節名古屋戦でも20メートルのミドル弾を決め、前日の練習後から「あの位置から入るなら、もっと積極的に打ってもいいと思っている」と口にしていた。この日はチーム最多の5本を放ち「貪欲だなあ」と笑い「成功体験が体に染み込んで思い切れた」と胸を張った。

 今季の得点パフォーマンスは、MF森谷とDF登里の発案でお笑いコンビ・スマイルのウーイェイよしたか(33)の「ウーイェイ」。07年から5年連続で年間4得点で自称「ミスター4点」と自虐ギャグを飛ばすが、今季は既に3得点し「ウーイェイ」も定着中だ。「(大久保)嘉人や(小林)悠と違って(パフォーマンスを)やり慣れてないから! 今日はたまたま」と謙遜する。MF森谷、MF田坂に今季初ゴールも生まれ、快勝で首位をキープし「無失点で勝てたことが次につながる」と手応えを口にした。【岩田千代巳】

 ◆ウーイェイ スマイルのウーイェイよしたかのギャグ。中村とウーイェイよしたかが似ていることから、森谷と登里が得点パフォーマンスに推薦した。右手の親指を立てて「ウーイェイ」と少し手を上げる。