元祖・怪物がついに目覚めた!? 東京の元日本代表FW平山相太(30)が、1年8カ月ぶりのゴールを決めた。途中出場途中交代の約20分間のプレーで、14年7月27日ホーム仙台戦以来となる、チーム2点目をマークした。右足内果骨折に右膝の負傷で長期離脱が続いていたが、30歳にしていまだ健在の得点力をアピールした。また日本代表DF森重真人(28)が2得点決めた後に一発退場。チームは3-2でシーソーゲームを制した。

 わずか20分間の平山ショーは、開演わずか1分でクライマックスを迎えた。1-1の後半24分に投入された直後だった。FW阿部のスルーパスが届くと、ゴール前中央から左へ左へとボールを運んだ。長い足で名古屋DFが触れられない懐の深さを見せ、最後は190センチの長身ごと滑り込みながらのシュート。広いプレーエリア、ゴール前での落ち着き、そして決定力。平山が戻ってきた。

 試合残り5分を切ったところで、DF森重が退場したため途中出場途中交代でお役御免。それでもヒーローインタビューでは「1点取りました~」と1年8カ月ぶりのゴールを報告。「これ(得点)がサッカー選手の醍醐味(だいごみ)なので続けられるように頑張る。離脱して途中で抜けないように、少しずつ上げていきたい」と宣言した。一昨年オフに背番号を9番に替えてから初得点。30歳にして不思議と新鮮味を感じさせるのが、この男の魅力でもある。

 名古屋戦に向けて2週間の中断期間に「仮想シモビッチ」としてチームに一役買っていた。今季3得点決めている名古屋の199センチFW役を、セットプレー練習などで担った。チーム内ではその間「シモビッチ」と呼ばれ続けたが、この日は「平山」として試合の主役を奪った。

 2年前の夏、アギーレジャパンの候補リストに平山の名前が入っていた。呼ばれる可能性がクラブ関係者の耳に入った直後、右足内果骨折で戦線離脱。日の丸どころか、ピッチからも遠ざかっていたが、スタンドでは代表チーム関係者が見届けていた。FWハーフナーが高さを買われ招集されたハリルジャパン入りも夢ではない。かつて怪物と呼ばれた男は言った。「自分の中ではコンディションはまだまだ全然」。いまだ誰も計り知れない潜在能力。目覚めの1発となって、日本を再び騒がせるかもしれない。【栗田成芳】

 ◆平山相太(ひらやま・そうた)1985年(昭60)6月6日、福岡・北九州市生まれ。国見高2、3年時に全国選手権史上初の連続得点王。04年に筑波大進学。03、05年ワールドユース、04年アテネ五輪出場。国際Aマッチ4試合3得点。05年8月からオランダリーグ・ヘラクレスで32試合8得点。06年9月から東京でプレーしJ1通算155試合29得点、J2は1試合無得点。190センチ、85キロ。