四方田キッズでエース不在の緊急事態を乗り切る! J2札幌の四方田修平監督(43)は2日、体調不良を訴えたFW都倉賢(29)に代え、前日1日にトップチーム(2種)登録されたばかりのFW菅大輝(17)を今日3日の町田戦遠征メンバーに抜てきした。菅を含め、昨年7月までに指揮官が指導した札幌U-18出身選手7人をスタメン、ベンチに配置。勝てば首位の可能性もある敵地の大事な一戦で、3連勝を狙う。

 練習場から新千歳空港へ向かうバスに171センチの新顔、菅が顔をこわばらせながら乗り込んだ。「緊張してます。うれしい気持ちもあるけど不安もある。(連絡が来た時は)本当かなと思いました」。四方田監督から遠征帯同を告げられたのは、公式戦に出場できるトップチーム登録が承認された1日の夜。必要そうなものだけを急いで詰めた小さなボストンバッグを抱え、東京に向かった。

 J2得点ランク首位のFW都倉が離脱した窮地を、札幌U-18監督時代に指揮官の育て上げた若手が救う。今日の町田戦は、スタメンの3バックの右にチームで唯一開幕から5試合フル出場を続けるDF進藤、ボランチはMF深井、ウイングバックの左にMF堀米、右にMF前寛が濃厚だ。前寛は「お世話になった監督と一緒にJ1という思いは、いつも胸にある」と決意をにじませる。ベンチではGK阿波加、MF神田、そして菅が出番を待つ。

 前節3月26日の京都戦。12年Jユースカップで高校世代の大会では道勢初の日本一を勝ち取ったメンバーの1人、GK阿波加がデビュー戦を飾った。堀米、深井、前寛も3ボランチを組んで先発し、強敵相手の2連勝に大きく貢献した。四方田監督は「出ているメンバーがいいプレーをしているし、結果も出ている。競争が激しいのはチームとしてうれしい」と教え子の働きに目を細める。

 阿波加は「いつかスタメン全員がU-18出身の選手でリーグ戦に出たい。地元の人がみんな喜んでくれるはず」と夢を語る。その中心にはもちろん、恩師の四方田監督がいる。勝ち点3なら首位の可能性もある一戦でエースの穴を埋めれば、J1にも、夢にも、大きく近づく。「FWなのでデビュー戦で初ゴール」と菅。14年7月以来、2季ぶりの3連勝へ若武者たちのひと暴れが危機を救う。【中島洋尚】