名古屋に復帰した元日本代表DF田中マルクス闘莉王(35)が、復帰戦でリーグ19戦ぶり勝利に導いた。昨季の第2S最終節鹿島戦(15年11月22日)以来、293日ぶりの公式戦にフル出場。残留を争う14位新潟に1-0で辛勝し、16位名古屋は5月4日横浜戦以来の白星を飾った。年間でJ1残留圏の15位甲府と勝ち点4差に接近。早くも“闘莉王効果”が出た。

 「1勝のつらさと1勝の喜び。チームは相当、苦しんだんだなと思った。まだたった1試合。でも、今日が終わってあと6試合しか俺には与えられていない。高校を卒業して初めて試合に出たような感じだった。生きている感じがした」

 昨季限りで名古屋との契約が切れ、生まれ故郷ブラジルでトラクターに乗って畑を耕す日々。事実上の引退だった。だが8月下旬に小倉前監督が解任されると電撃的に復帰要請を受けた。急ピッチで仕上げて先発出場。前半36分には相手の速攻を、体を張って止めて警告を受けた。闘争心むき出しのプレーは変わらない。得点を決めたFW川又は「サッカーをしていなかったのに…。普通の人にはできない」と驚き、4カ月ぶり勝利にMF田口は「1つ勝つまでが苦しかった」と涙した。低迷する名古屋に救世主が出現した。【益子浩一】