G大阪が2年ぶり3度目の優勝を逃した。1-1で迎えたPK戦。ともに3人が成功し、迎えたG大阪の4人目は関学大卒の新人FW呉屋大翔(22)だった。浦和サポーターによるブーイングが充満する中、相手は日本代表GK西川。シュートはほぼ正面に飛び、両軍で唯一の失敗となった。

 「ガンバを背負って蹴ったので責任を感じている。気持ちの整理はできていないけど、この経験を無駄にしてはいけない。自分のゴールという形で借りを返したい」。後半43分から出場した呉屋は、延長後半15分には右ポストに当たるシュートを放つなど果敢に攻め込んでいた。

 PK戦前の円陣で長谷川監督は「(キッカーを)決めていた選手が拒否した。その時(呉屋と)目と目が合って『蹴ります』と。何て強い気持ちなんだと思った。蹴りたがらなかった選手より、勇気ある選手が蹴ってくれた方がいい」と新人の度胸を評価した。

 MF今野が「勝ち切れないのは実力。カウンターで1点取りたかった。PK戦は仕方ない」と言えば、DF丹羽は「最後のPK戦は運だと思う。浦和におめでとうと言いたい」と胸を張った。FWアデミウソンの先制点を含め、選手は体を張った攻守で120分間の激闘を耐え抜いた。

 今大会のニューヒーロー賞を獲得した20歳のMF井手口は「やりきった。すごくいい経験になった」と言う。J1で無得点の呉屋が今大会で得た経験もプライスレス。36歳のMF遠藤が引っ張ってきたG大阪は変わりつつある。今季のJ1優勝は絶望的だが、残された天皇杯で意地の3連覇を実現する。【小杉舞】