頼れる副キャプテンが運命の一戦で復帰する可能性が出てきた。右膝前十字靱帯(じんたい)損傷し戦線を離脱していた湘南MF菊地俊介(25)が、引き分け以下ならJ2降格が決まる次節大宮戦で3月20日の浦和戦以来、約7カ月ぶりにベンチ入りする可能性が高まった。

 20日の実戦形式の練習では、けがの影響を感じさせないプレーを披露。15日の川崎Fとの練習試合でも途中出場しており、実戦復帰の準備が整った。けがの状態について、菊地は「まだ100%ではない。球際の所は少し怖さがあり、思い切っていけない部分もある」と慎重な姿勢を見せながら「できれば試合には出たい」と本音をのぞかせた。

 3月24日の練習中に負傷し、全治8カ月の診断を受けたが「予定より早く、(全体練習に)合流できた」と順調に回復。14、15年と2年連続リーグ30試合に出場してきた男は、今季中の復帰を目指し、地道にリハビリを続けてきた。チームはJ1残留に崖っぷち。先発では厳しくても、ベンチにいるだけチームへの精神的な影響は大きい。

 けがの功名もあった。膝を痛め、走れなかった期間には上半身を重点的に強化。体重もけが前より2キロ増えて74キロとなり、体は筋骨隆々。「筋肉力が増えた。シュートに力強さが出てきたと言われます」。成長は肉体面だけではない。「出ていないバックアップの人の気持ち。悔しさを間近で見られた」と話す。

 次戦の大宮戦に引き分け以下なら降格が決まる。チームから離脱している間、試合のベンチには背番号2の菊地俊のユニホームが飾られていた。次は自らベンチに立って、窮地のチームを鼓舞する。