ベガルタ仙台の新人DF永戸勝也(22=法大)が、J1に限ればクラブ史上3人目の新人開幕スタメン入りすることが濃厚になった。宮崎キャンプ8日目の21日の攻撃練習で左ウイングバック(WB)に入り、左足から高精度なクロスを連発。渡辺晋監督(43)らは永戸の足元の技術を評価。左WBの開幕スタメン最有力候補だったMF中野嘉大(23)が右膝負傷で離脱中という苦しいチーム状況に光をもたらす。

 シンデレラボーイになる。競争相手の中野は18日の非公開練習試合で負傷した右膝の診断を受けるため、この日仙台に帰った。ライバル離脱に永戸は「自分が出たときはやってやろうという思いはあったので変わらない」と語った。J1に限れば14年のDF二見(現清水)、15年のMF茂木に次ぐ、クラブ史上3人目の新人開幕スタメンをつかみそうだ。

 1カ月以上という長丁場のキャンプで成長した。序盤は「ポジショニング1つも早くしっかりなおさないといけない。人の速さや判断などのスピード感は大学とは違う」と、プロの壁を痛感した。だが今では「チームの中での役割も分かってきた」。この日も左WBでのプレーを入念に確認した。

 左WBの素質は十分に備えている。渡辺監督は「ボールの置き所」に注目する。「パスも突破もできる持ち方をしている」。ボールを受けた瞬間から状況に応じて、ドリブルやクロス、パスなど複数の行動に移せる足元の技術の高さを絶賛した。攻撃的選手として浦和や仙台で活躍した福永泰コーチ(43)は「左利きのスペシャリスト。クロスボールのスピードも速い。いい質のボールを蹴ることができる」と、クロスの技術の高さにも感嘆する。

 永戸は「(緊張は)大丈夫だと思う。ワイドが目立つフォーメーションなので、目立てられればいい」と意気込む。一方で「リーグ戦は34試合あるので、そこを見据えたい。そんなに(開幕を)意識しないように」と自分に言い聞かせるように語った。目標の「背番号2を永戸色に染める」ために、最高のスタートを切ってみせる。【秋吉裕介】

 ◆永戸勝也(ながと・かつや)1995年(平7)1月15日、千葉県船橋市生まれ。兄の影響で5歳の時サッカーを始める。八千代高(千葉)から法大に進学。大学2年時に総理大臣杯で準優勝。趣味はカフェ巡りと読書。身長172センチ、71キロ。