2季ぶりにJ1の清水エスパルスは、黒星スタートとなった。ホームでヴィッセル神戸と対戦したが、後半26分にセットプレーから失点して0-1。FW鄭大世(32)がシュート4本を放つも、チームとして決定機を作れなかった。J2の昨季は終盤に9連勝を飾るも、選手たちがJ1のスピード、強さ、厳しさをあらためて感じた試合になった。

 雲間から富士山を望む青空の下、うなだれて歩く清水の選手にサポーターから次々と声が飛んだ。「顔を上げろ」「まだ始まったばっかりだぞ」。1年でJ2から復帰し、迎えたJ1開幕戦。出はなをくじかれたが、小林伸二監督(56)は「前半は硬さがあったが、徐々に慣れた。続けていけばできる。決して悪くない」と言い切った。

 2年ぶりのJ1の舞台に、選手は奮い立っていた。キックオフ直前に観客席がオレンジ一色に染まり、スタジアムが一体に。最高の雰囲気に包まれ、キックオフと同時に躍動した。前半3分、MF野津田岳人(22)の右クロスに鄭が合わせてファーストシュートを放った。同32分にはMF河井陽介(27)のクロスから新10番のMF白崎凌兵(23)が頭で合わせたが、わずかに枠を外した。

 セットプレー絡みでの失点後は、前線に人数をかけて攻めた。だが、細かなミスや、パスのタイミングが合わない場面が目立った。鄭は正直に言った。「点が入る気がしなかった。迫力のある攻撃ができなかった。凡戦でサポーターに申し訳ない」。

 一方で、J1で通用する面もあった。昨季から意思統一された前線からの守備だ。FW金子翔太(21)を軸に積極的にプレスをかけ、高い位置でボールを奪う場面が多くあった。チーム全体での守備も機能。神戸に流れの中では崩されず、DF犬飼智也(23)は「ピンチは作られていないので、そこは悪くない。(J1は)レベルが高いけど、やれるのかなという手応えはあった」と振り返った。

 確かにJ1で負け続けた2年前のチームよりも粘り強く、選手個々の意識も高い。まずは1勝を目指し、自信をつかみにいく。【保坂恭子】