ジュビロ磐田の元日本代表MF中村俊輔(38)が、ワールドクラスの一撃をぶち込んだ。アウェー鹿島アントラーズ戦の前半21分、距離約25メートルの地点からこぼれ球に左足を振り抜き、豪快にゴールネットを揺らした。3-0で昨季王者を破った磐田は、カシマスタジアムでは7年ぶりとなる白星で今季初の連勝。

 中村俊が、ゴール裏に陣取った鹿島サポーターを一撃で黙らせた。1点リードの前半21分。自らの左クロスが1度ははね返されたが、こぼれ球が再び目の前に転がった。「もう1度チャンスが来ることなんてめったにない。しかも、止まっているかのようなボールだった。打ちがいがある」。迷いはない。体重を乗せて左足を振り抜いた。

 放たれたボールは、わずかにアウト回転しながらクロスバーをかすめ、豪快にネットに突き刺さった。「力も入っていなかったし、入ると思った」。打った瞬間、3月11日の大宮戦以来となる今季2点目を確信。シュートの軌道だけを確認すると、右手の拳を握りながら名波監督の元に笑顔で飛び込んだ。

 今年6月で39歳。チーム最年長も、その輝きは色あせない。前半15分には「時間」を掌握した。右サイドで縦パスを受け、ゴール前にドリブルで進入。鹿島DF陣2人を引きつけ、右サイドのDF桜内にパスを送った。そのクロスからFW川又の先制点が誕生。桜内は「俊さんが時間をつくってフリーを与えてくれた。川又の動きも見えたし、練習のようにクロスを上げるだけだった」と、証言した。

 チームは敵地鹿島戦で7年ぶりの白星。今季初の完封勝利で今季初の連勝を飾った。順位は6位に浮上。中村俊も「チームとして上積みできていることが一番大きい」と確かな手応えを感じている。磐田の背番号「10」を背負う天才レフティー。その背中が頼もしい。【前田和哉】

 ◆鹿島-磐田戦を視察した日本代表ハリルホジッチ監督の話 磐田の中村俊と、川崎の中村が、Jでトップクラスであることを証明したと思います。