INAC神戸が“奇襲作戦”で対日テレのリーグ戦連敗を7で止めた。

 FWや2列目を本職とする元なでしこジャパン高瀬愛実主将(26)を右サイドバック(SB)に抜てきし、後半21分にMF京川舞(23)がPKで決勝点をマーク。13年5月12日以来の日テレ戦勝利を、高瀬は「やっと勝てたな、というのがある。サポーターの方がすごく喜んでくれて、ホッとしている」とかみしめた。

 相手もビックリのポジション変更だった。日テレでフル出場した元なでしこジャパンDF岩清水梓(30)は「(試合前に)メンバー表を見て『DF』って書いてあったから、『やるのかな?』とは思ったけれどビックリした。(高瀬がDFを)できていたし、ビックリして『すげえな』と思いました」。前節14日伊賀戦を終え、16日の練習時にINAC神戸の松田岳夫監督(55)が高瀬をDFに置いた。高瀬は「最初、笑っちゃいましたけれど(練習の)2日目、3日目…とやってもサイドバック。『覚悟を決めないと』と思いました」と正直な心境を明かした。

 公式戦でDFをするのは人生初。最終ラインのコントロールなどは「自分が知っているサッカーの(知識の)範囲内で…」と苦笑いしながらも、体を張ったプレーで日テレを完封した。松田監督は「想像以上によくやってくれた。(ポジション変更は)ハードワーク、守備力を含めて判断した」と評価。高瀬もFWへのこだわりをちらつかせた上で「今日に限らず、ピッチに立つ以上は与えられた場所でやるべきことをやりたい」とチームを思いやった。

 負ければ首位日テレと勝ち点9差となり、9試合を残しながらも優勝が遠のく大一番だった。全18節の半分を終え、3位ながら日テレとの勝ち点差は3。高瀬は「折り返しでいい試合をして、勝てたのはプラス。今日の勝ちを無駄にしないように。目指しているのはリーグ優勝なので」と4年ぶりの頂点を見据えた。