日産自動車は31日、子会社である横浜の運営会社「横浜マリノス」(横浜市)の出資比率を、第三者割当増資や持ち株売却などを通じて引き下げる方針を固めた。世界的な自動車販売不振で業績が急激に悪化しており、出資比率を低下させてほかの出資企業にも応分の負担を求めることで経費を削減するのが狙い。

 金融危機に伴う自動車不況を受け、ホンダがF1シリーズから、富士重工業が世界ラリー選手権から撤退し、スズキも休止を決定。三菱ふそうトラック・バス(川崎市)はの浦和のユニホームスポンサーから降りる方針で、日産もマリノスについて「コスト負担が重いため、スポンサーを増やして軽減したい」(役員)との考えだ。

 日産は、横浜の株式の約93%を持つ筆頭株主で、残りは横浜市内の複数の有力企業が出資している。2007年度の当期純損失は100万円、累積損失が1億2200万円と経営状態は苦しい。日産は、マリノスが第三者割当増資を実施して他の企業に株式を引き受けてもらうことや日産の持ち株を売却することで出資比率を落とし、出資企業による共同経営の色彩を強めることを検討。選手のユニホームへの広告といったスポンサー契約を広げることで、収入も増やしたい考えだ。

 横浜は2003、04年にJ1連覇を果たした名門チームだが、近年は苦戦気味。戦力強化のためセルティックから中村俊輔の09年1月獲得を目指したが、高額な移籍金の調達が難しくなったため断念した。

 日産は、自動車の08年度の減産台数が世界で35万台以上に達し、国内工場の非正規労働者を09年3月末までにゼロにするなど経営環境が厳しさを増している。(共同)