<J1:横浜1-0浦和>◇第1節◇8日◇日産ス

 アジア王者の浦和がリーグ開幕から不協和音に包まれた。16年目を迎えたJリーグは8日に開幕。FW高原直泰らの新加入で注目を集めた浦和は、アウェーで横浜と対戦した。しかし新戦力を中心に連係がギクシャクし、攻撃パターンに乏しいなどの調整不足を露呈して、0-1で黒星を喫した。主力選手からは采配批判が集中し、オジェック監督自身もチーム完成に6週間程度かかることを認めた。優勝候補とされながら、波乱の幕開けとなった。

 ゴール奪取の手段が見えない。試合終了後、浦和イレブンの表情には悔しさよりも不満がにじんでいた。何度もゴール前にクロスを蹴ったが、味方につながらなかった。横浜の手堅い守備を打開するためのアイデアも工夫もなし。選手全員が何もできないジレンマを感じながらの90分間…。そこに昨季のアジア制覇、クラブW杯3位を誇った面影はなかった。

 数的優位のチャンスで追撃のすべがなかった。0-1で迎えた後半24分、敵FWロニーがこの日2枚目の警告で退場。相手が1人少なくなったと同時にオジェック監督は永井、その6分後には田中達も投入した。先発2トップの高原、エジミウソンを合わせて4人のFWを並べたが、練習でも試したことのない布陣。局面打開の具体的な指示もないまま、急場の4トップが機能するはずがなかった。

 当然、選手の誰もがオジェック監督に不満をぶつけた。「やりたいことがあったのか。こんなサッカーじゃ勝てないことは監督も分かったはず」。「攻撃の形がない」。「1人多くなっても前線に人を増やせばいいわけじゃない。逆に人が多くて動きにくい。クロスを上げても相手の方が多い」。複数の主力メンバーの口から、采配批判が続出する。メンバーが違うとはいえ、昨年のリーグ終盤から4試合連続で1点も取れていない。

 就任2年目のオジェック監督にとって今季は勝負の年となる。Jクラブで最も遅い始動(2月4日)も、鈴木を除いた高原ら代表組がグアム合宿に帯同し、調整時間は十分にあった。それでも開幕に照準を合わせられず、同監督も「シーズンが始まって4~5週間、あるいは6週間ないと機能するには時間がかかる」と仕上がりの遅れを認めた。

 昨季とは違い、高原らの加入でFWの選手層は厚くなった。だが一方で小野、長谷部が欧州移籍し、ポンテも右ひざ故障で長期離脱中。ある主力は「うちに(小野)伸二がいたら面白い。パスをつなげるタイプだし、高原、エジミウソンとも合う。今、言っても遅いけど」と苦笑するなど、ゲームメーカー不在も影響した。これで浦和の開幕アウェー戦は2分け7敗と勝ち星なし。開幕黒星を契機にした「内紛」は大きな衝撃となる。V候補筆頭は6週間後に完全復活を見せることができるのか。