<J2:福岡2-1水戸>◇第2節◇16日◇レベスタ

 福岡が1週遅れの開幕戦で、白星スタートを切った。同点の後半29分に右サイドバック中村北斗(22)がゴール前に切り込んで相手のファウルを誘い、PKを獲得。新外国人MFウフク・タレイ(31)が決めて勝ち越した。中村は右ひざ負傷前の06年11月11日以来、491日ぶりにホームでフル出場し、五輪代表復帰への大きな一歩を踏み出した。

 光るプレーが、開幕戦勝利を呼んだ。後半29分、中村はMF城後寿(21)から右サイドでパスを受け、自らゴール前に持ち込んだ。スピードに乗った攻撃で相手のファウルを誘い、PKを獲得した。同点の場面で得た絶好のチャンスに、仲間にもみくちゃにされた中村も、思わず笑顔になった。タレイがPKを決めて勝ち越し、2年連続で白星発進のリトバルスキー監督(47)は「北斗は開幕戦でリズムを取るために必要な選手だった。良い動きでPKを取って、流れを呼び込んでくれた」と、うなずいた。

 右ひざ前十字じん帯損傷から復帰3戦目の昨年7月15日、ホームで先発したが9分で同じ個所を痛め交代して以来の公式戦。中村は「久しぶりに観客の前でやる雰囲気にのまれて、デビュー戦のような気持ちだった。まず(出場)10分を越えようと思った」と、開幕戦の緊張以上の感情を抱えていた。それでも、懸念していた10分を超え、日本代表の井原正巳コーチ(40)が視察する前でフル出場。「PKを取ったプレー以外は、全然ダメだった。(全盛時に比べると)まだ50%くらいだが、夏までに戻せば良い」(中村)。五輪代表復帰へ再スタートを切った手応えを、つかんだ90分間だった。

 中村の復帰を一番喜んだのは、立ち見も出た1万5157人の観衆だった。選手入場の時に掲げられたフラッグには「おかえり北斗」「北斗待っとったよ」と歓迎の言葉が並び「恒星北斗」の文字もあった。復活したスターの輝きが、北京への道を照らし始めた。【佐藤千晶】

 福岡MF久永(ゲームキャプテンとしての初戦で勝利)「先発がわからず、ぶっつけ本番に近いシチュエーションもあった。自分自身の調子も含めて内容は良くなかったが、今年やろうとしているサッカーで勝ち点3が取れた。去年は(5-0で勝った)開幕戦が良すぎて、ハードルが高くなり、そこへ戻そうと無理して連敗することもあった。これから積み上げていく方が、良い結果につながるのでは」

 福岡MF中払(京都から7年ぶりに復帰し右サイドで開幕スタメン)「(右サイドバックの中村)北斗と練習でほとんど組んでなかったので、スタメンはびっくりした。あまりボールが足につかなかったが、時間を稼いだり、流れを切る持ち味は出せた。頭を使ったプレーで勝利に貢献できたと思う」

 福岡DF長野(競争の激しいセンターバックで、プロ4年目で初の開幕戦出場)「調子が良くて、体を張るプレーができた。チーム内の競争が激しいので1試合1試合がアピールの場。(DFリーダーの)ルダンが戻ってきても、譲る気はない」