<J1:磐田1-1東京V>◇第19節◇26日◇ヤマハ

 エースがようやく目覚めた!

 磐田FW前田遼一(26)が待望の今季初ゴールを決めた。前半1分、MF駒野友一(27)の右クロスに頭で合わせて、昨年12月1日柏戦以来238日ぶりのゴールを決めた。来月には待望の長女が誕生することも判明。試合は後半23分に東京Vに追いつかれて1-1で引き分けたが、復活したエースが、反攻ののろしを上げる。

 ゴールへの嗅覚(きゅうかく)が、前田を走らせていた。1度は中央でMFジウシーニョへはたいたボール。右の駒野へ流れたのを見るや、ゴール前へ猛然と走り込んだ。試合開始1分。頭で合わせてネットを揺らした瞬間、普段は冷静沈着な男が激しい雄たけびを上げた。「みんな動いていて、いいスペースができていた。コマからいいパスが来た。うれしかったです」。駒野と抱き合い喜んだ。

 有言実行だった。23日に日本代表に選出された時、素直には喜べない自分がいた。「うれしいですけど、まだ結果を出していない。東京V戦で、代表選手らしいプレーをしたい」。今季開幕前、06年に記録した「15得点」を超えるゴール数を目標に掲げていた。右ひざ半月板損傷と右ふくらはぎ痛を乗り越え、ようやく最初のゴールを刻んだ。

 新しい家族にささげる得点にもなった。来月、昨年10月に結婚した夫人が、待望の長女を出産する。この日、前節で達成したJ1通算150試合出場を記念して、夫人から花束が贈られた。最愛の妻が見守る前で、復活を告げた。勝ちきれなかったため「前回(大分戦)とほぼ同じ展開になって、生かせなかった。早く追加点を取れるようにしたい」と反省もしたエースが、8月反攻の切り札になる。【今村健人】