<J1:浦和0-0大分>◇第24節◇13日◇埼玉

 上位決戦でも、大分の堅守はぐらつかなかった。勝ち点41で並んでいた浦和とアウェーでスコアレスドロー。日本代表GK西川周作(22)が負傷交代するアクシデントも乗り越え、連続不敗記録を公式戦15試合、リーグ戦11試合に伸ばした。この日上位勢で唯一勝った首位名古屋との勝ち点差は3に広がったが、2位鹿島、3位浦和と同勝ち点の4位を死守した。

 敵将のひと言が、負けない大分の秘訣(ひけつ)を物語っていた。試合後、大分MF鈴木が、京都在籍時の指揮官だった浦和エンゲルス監督にささやかれた。「大分はしつこいと言われた。これからも、しつこく(上位に)食らいついていたい」(鈴木)。4万5000人の浦和サポーターを完全に沈黙させた大分の“判定勝ち”ともいえる戦いだった。

 リーグ最少16失点の堅守は、王者浦和相手でも崩れなかった。前半7分に日本代表DF闘莉王、2分後には司令塔のMFポンテがいらつくほど執拗(しつよう)なマークで攻撃を遮断。FW高原への縦パスは森重を中心としたDFラインが次々とオフサイドに仕留めた。「コミュニケーションがよければ、失点の5割は防げる。選手間の友情で守備のシステムが機能している」とシャムスカ監督。後半33分にGK西川が、闘莉王との接触プレーで左ひざを打撲。タンカで運ばれピッチを去ったが「チーム状態がいいので、ここで自分が無理するより下さん(下川)に代わった方がチームのためにいいと思った。浦和よりチームが1つになっていた」と西川。周りの選手を信じる力と、それに応えようとする控え選手のきずなも堅守を支える。

 これでリーグ戦4戦連続無失点。攻撃陣も、後半ロスタイムにはMF鈴木のブレ球FKと、惜しくもゴールバーを直撃したFWウェズレイのシュートで、あと1歩のところまで浦和を苦しめた。「浦和の強力なサポーターの前で選手はよくやった。ゲーム内容は互角だった」。空路戻った大分で首位名古屋勝利の報を聞いたが、勝ち点3差の2位グループには踏みとどまった。決勝進出を決めたナビスコ杯に続き、リーグ戦でも最後までV争いに食らいつく力強さが、今の「負けない大分」にはある。【村田義治】