鹿島MF小笠原満男(29)が20日の柏戦で左ひざに重傷を負い、今季絶望となった。前半2分に同個所を負傷し、痛みに耐えてプレーを続けたが、同18分に負傷交代。試合後、さいたま市内の病院で検査を受け、左ひざの半月板損傷と前十字靱帯(じんたい)損傷で全治6カ月の診断を受けた。代役のいない大黒柱の離脱でリーグとACLの2冠獲得へ暗雲が立ち込めた。試合は1-1で引き分けた。

 めったに痛みを顔に出さない小笠原が苦悶(くもん)の表情を浮かべた。前半2分に相手に足を踏まれるような格好で倒れ込み、その後も出場を続けたが、同15分の接触プレーでうずくまった。ピッチサイドに運ばれ、患部の治療を施したが、チームドクターから続行不可能を意味するバツ印がベンチに送られた。担架に乗ることを嫌う男が、自力で歩けずに無念の表情で控室に下がっていった。

 試合後に病院で検査を受けたが「左ひざの半月板損傷と前十字靱帯損傷で全治6カ月」と今季絶望を意味する最悪の結果となった。鈴木満強化部長は「本人は『(前半2分の)最初のプレーでやったかも』と言っていた。(靱帯)切った経験がなかったから分からなかったのだろう」と説明した。24日のACL準々決勝第2戦アデレード戦以降の欠場が確定。腫れなどの症状が落ち着き次第、手術を受ける予定だ。

 大きなケガとは無縁に近い選手だった。太もも肉離れでも「ケガじゃない」と言い張り、ドクターも舌を巻くほどの精神力を示してきた。だが今季はフル回転が続き、最近は左太もも周囲の張りはピークに達していた。鈴木部長は「自分からは休むとは言わない。正直、今日は勝ち負けより無事であればと思っていたのに」と悔しがった。

 今季公式戦の欠場はわずか1試合。33試合で6得点11アシストの成績を残していた。DF岩政は「抜けてからボランチのラインからボールが出ていなかった」と影響力を感じ取っていた。技術面でも、主将を務める精神面でも存在感は大きかった。「タイトルは全部取りたい」と話していた大黒柱を失った鹿島の衝撃はあまりに大きい。【広重竜太郎】