<J1:磐田1-0新潟>◇第27節◇28日◇ヤマハ

 磐田が、やっと勝った。前半22分にFW前田遼一(26)がPKで決めた虎の子の1点を守りきり、新潟に1-0。オフト監督(61)就任後初勝利で、チームとしても7月17日の名古屋戦(2-1)以来、10試合ぶりに白星を手にした。降格圏脱出へ、ここから反攻に出る。

 長かった。2分のロスタイムが、長かった。勝利までの道のりが、長かった。勝てない苦しみに耐えて、新潟の猛攻に耐えて、10試合ぶりにやっと手にした1勝。「勝利が欲しかった。本当に良かった。全員が力を出し切った。みんなの応援の力で勝てました」。マン・オブ・ザ・マッチに輝いたジウシーニョは、今季最多1万4241人の観客と喜びを分かち合った。

 先発11人が、最後まで走りきった。ジウシーニョは2度のフェイントからPKを誘い、後半13分にはDF千代反田を2枚目の警告で退場させた。キッカーの前田は、重圧の中でPK練習の成果を見せた。リーグ戦初先発のMF松浦もPKを“アシスト”する縦パスを送り、守備陣は新潟MFマルシオ・リシャルデスを徹底マーク。「キーマンをつぶせば何とかなると思っていた」(DF茶野)と、今季一番の集中力を見せた。

 試合前、オフト監督は「何としても勝つぞ!」と呼びかけた。「最初の3試合はどうなるか分からない」。周囲にそう漏らしていた手探りの期間を終え、4戦目で初めてこだわった勝利への執念。受けた警告は5枚。MF駒野は「警告は良くないが、それだけ気持ちが前に出ていたということ」と言った。前日に16位千葉が勝ったため、勝つと負けるとでは大違いの一戦をモノにした。DF田中は「気持ち的には楽になったと思う。ただ、まだ勝ち点3を取っただけ。厳しい状況は変わらない」。反攻への足がかりを、ようやくつかんだ。【今村健人】