気力を振り絞って、キャプテンが逆転J1切符をたぐり寄せる。J2仙台MF梁勇基(26)が2日、右足内転筋痛をおして、4日の甲府戦に臨む決意を明かした。「主将じゃなかったら欠場する」(梁)ほどの痛みがあるという。それでも、2位湘南を勝ち点1差の4位で追う状況で、戦列を離れるわけにはいかない-。大黒柱の自覚で、チームを引っ張る。

 3年にわたりリーグ戦87試合連続出場中の「鉄人」が、右足に爆弾を抱えている。もどかしそうに梁が口を開いた。

 梁

 (28日の)水戸戦の最初の方に蹴ったFKで「痛い」と思った。(内転筋の)張りは前からあったけど、水戸戦の試合中ずっと痛かった。今回の痛みはしぶとい。朝起きて、起き上がる時もヤバイ時がある。

 この日の紅白戦を含め、今週はセットプレーのキッカーを自重した。「良化している感じがあって(痛みを)ぶり返したくない。紅白戦でセキ(MF関口)に頼んだけど、甲府戦もセットの半分はお願いする。何本蹴れるか、まず1回蹴ってみないと分からない」。梁の一大事に集中力が増したのか、この日の関口のボールは、ピンポイントでFW中原の頭をとらえた。

 「主将じゃなかったら、試合に出ていない」と話す梁。それでも「出るなと言われても出る。この時期、痛みのない選手はいない。とりあえず勝ちたい」と勝利最優先だ。この日もハリ治療などを施し、最後にクラブハウスを後にした。昇格切符に届きそうな状況で、主将が戦列を離れてはいけない-。手負いの梁の姿に、イレブンが発奮しないはずがない。【山崎安昭】