<天皇杯:広島1-0東京V>◇4回戦◇2日◇西が丘

 J1勢を撃破!

 天皇杯全日本サッカー4回戦が行われた2日、J2サンフレッチェ広島はJ1東京Vを1-0で下し、5回戦に駒を進めた。3月1日の鹿島とのゼロックス杯以来となるJ1勢との対戦は、終了間際にMF高柳一誠(22)が決勝ゴール。J2優勝&昇格を果たしたサンフレが、今後もJ1勢を苦しめる。

 紫と緑に染まるスタンドを、J2チームが魅了した。前半のシュート数はほぼ互角。それが後半はサンフレが12-1と圧倒した。東京Vは攻撃の鍵を握るMFディエゴが前半終了間際にDFストヤノフを突き飛ばして一発退場-。出場34回優勝5回の東京Vと、出場57回優勝3回の広島による名門対決は、最後まで攻撃を仕掛けたサンフレに軍配が上がった。

 日本代表岡田監督とオシム前日本代表監督が見守る中、後半44分、サンフレに値千金のゴールが生まれた。同34分にMF青山と交代出場したMF高柳が、MF楽山のパスに反応し、至近距離から冷静に決めた。「J1チーム相手でもやれることが分かった」とペトロビッチ監督。J2最強チームの実力を見せつけた。

 新旧代表監督がサンフレを絶賛した。岡田監督が「サンフレッチェは良かった」と言えば、ペトロビッチ監督と師弟関係にあるオシム氏は「積極的に攻めたチームに結果がついてきたということ。給料の低い若手がしっかり走る。経営面でも効率的だ」。“人もボールも動く”オシム流を実践した弟子の手腕と、若手主体のチームを評価した。

 5回戦の相手は3日に行われるJ1川崎F-J2山形の勝者となる。主将FW佐藤寿は「ぜひ川崎Fとやりたい。J1の強豪チームに勝つことが重要」と言う。昨季の天皇杯はJ2降格ショックを吹き飛ばし決勝進出。既にJ1昇格とJ2優勝を飾ったサンフレが、今季の天皇杯も主役に躍り出る。【佐藤貴洋】