コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブ(HFC)の矢萩竹美社長(58)が“直接抗議”で雪国の実情を訴えた。シーズン秋春制を議論するJリーグ実行委員会第1回「シーズン制検討プロジェクト」が2日、東京・JFAハウスで12人のクラブ社長が出席して行われた。矢萩社長は口頭で冬期間の積雪量、降雪日数、平均気温を伝え、試合開催が困難であることを説明。また人工芝ピッチの導入などは金銭的に不可能という考えも示した。

 札幌は断固「NO!」を貫いた。約2時間の会議を終え、矢萩社長は「(鬼武)チェアマンの言葉を借りると、(秋春制の)果実とか夢が見えてこない。見えてこないものを追っかけるためのリスクばかりが見えてきて、なかなか改善できないといったお話が多かった」と話した。自らだけでなく、鬼武チェアマンの言葉を引用する形で反対の姿勢を示した。

 雪国クラブの結束は固かった。会議では山形が冬期間の積雪量、降雪日数、平均気温、雪が積もった景観を写した写真を資料として提出。矢萩社長もこれに同調する形で、北海道の同様の数字を示したという。寒冷地のクラブの訴えが効いたのか、会議に出席した12人のうち、秋春制に賛成したのは、浦和など3チームしかなかった。

 矢萩社長の発言は止まらない。さらに会議後には観客1万人規模の屋根付き、人工芝ピッチの建設費が250~400億円と算出されていることを引き合いに出し「2~3カ月のために、それだけのコストをかけるのは現実的ではない」と異議を唱えた。アウェーのみ開催案についても「シーズンの悪いときにアウェーばかりでは公平ではない」などとたたみかけた。

 次回以降の会議では、さらに具体的な数字で「秋春制」が厳しいことを示すつもりだ。現在、札幌ドームに人工芝ピッチの予算、それを出し入れする費用の算出を依頼している。今月中には資料がまとまる予定だ。さらに道協会とも協議を重ね、Jだけでなく高校生など各年代に与える影響も考えていく。「冷静に(議論)すればするほどクリアできないものはクリアできないと分かるはず」。もう1度話し合いを行い、半年をめどに結論を出すという同プロジェクト。札幌の論調は今後も全面的に反対でぶれることはなさそうだ。