<J1・J2入れ替え戦:仙台1-1磐田>◇第1戦◇10日◇ユアスタ

 磐田のMF松浦拓弥(19)が、J1残留へ半歩前進させた。J2仙台との入れ替え戦第1戦(アウェー)で、0-1の1点ビハインドで迎えた後半8分に、左足ミドル弾で貴重なアウェーゴール。オフト体制で一気に出番の増えた「オフトの申し子」の活躍で、13日のホームでの第2戦に勝てばもちろん0-0の引き分けでも残留が決まる。ホームでの今季最終戦で、最後の最後までもつれた生き残り合戦に終止符を打つ。

 目の前のボールしか見えていなかった。0-1で迎えた8分。MF駒野の右クロスからFW前田とつないで、FWジウシーニョが後方に落としたボールを、松浦が左足で突き刺した。チームにとって3試合ぶりのゴールは、敗戦ムードから引き分けに持ち込む貴重な同点弾となった。自身G大阪戦(10月18日)のリーグ初ゴール以来。「パスが来ると信じて走って、決められてよかった」と、素直に喜んだ。

 オフト体制になった9月から終盤にかけて、出場機会が一気に増えた。リーグ戦残り8試合はすべて先発。愛弟子のゴールにオフト監督も「非常にポテンシャルは高い。流れるように攻撃のできる選手。でも最後の5分はもう少し落ち着いてやらないと」と、最大級の賛辞の直後に、戒めることも忘れなかった。

 今季限りでの現役引退を表明しているMF名波からも後押しを受けていた。最終節大宮戦(6日)では、松浦が1人気を吐いたが、奮闘むなしく無得点で敗れた。すると、試合後名波から「普段通りできていたのは松浦だけ」と、ねぎらいを受けた。松浦は「中学生のころにテレビでみていた選手。一緒にやれていることは自分にとって大きい」。言われて学ぶこともあるが、見て学ぶことで成長してきた。

 今月21日には20歳の誕生日を迎える。少し早いバースデーゴールに「アウェーゴールで少し有利という気持ちは持たず、チームに貢献したい」と、早くも大人の自覚をのぞかせた。「このサッカーを来年もJ1でやれるようにしたい」。13日、胸を張ってピッチに立つ。【栗田成芳】