磐田GK川口能活(33)が、「ここぞの時の勝負強さ」で瀬戸際のチームをJ1残留に導く。J2仙台との入れ替え戦第2戦に向けて12日、磐田市内で調整。アウェーでの第1戦(10日)を1-1で終えているため、川口が無失点に抑えられれば、自動的に残留が決まる。これまで各世代の代表、クラブで幾度となくスーパーセーブを見せ、ゴールを守ってきた守護神が、J2降格の危機に立たされたチームを救う。

 男ヨシカツの真骨頂だ!

 追い込まれれば追い込まれるほど、本領を発揮する。J1生き残りをかけた最終決戦を前に、川口は言い放った。「開き直れば、こういう状況は自然とワクワクする。頭がクリーンになって、集中できる」。J2降格寸前の危機的状況を楽しむかのように話した。この日の練習の最後に行われたPK戦では、鋭い横っ跳びで3度も止めた。

 チームでも代表でも、ここぞという時は、常に力を発揮してきた。絶体絶命の場面には、いつも鬼の形相の川口がいた。「性格が白黒はっきりしているから、追い込まれるなら完全に追い込まれないといけない」。チームは今季クラブ史上最低順位の16位で、初めて入れ替え戦行きとなった。「最終節では、他のチームの結果を気にしながらやっていた。今はこの試合にだけ集中すればいい」。

 勝たなくてもいい。自分が無失点にさえ抑えれば、残留を決められる。今季リーグ終盤は確実に勝ち点1を積み上げようとして、守りに入って勝ち点を取りこぼしてきた。その教訓は忘れない。「絶対に守りに入ってはいけない。両サイドが高い位置からどんどん行けばいい」。仲間に積極席に攻めさせて、ゴールは自分が死守してみせる。

 J1最終節の大宮戦(6日)で敗れた瞬間、自動降格を覚悟した。「僕らは1度死んだ身。開き直りというのが一番大きい。このままでは気が済まない」。これまでも数々のドラマをつくってきた。日本サッカー界の歴史に残る守護神が、磐田のゴールマウスに鍵を掛ける。【栗田成芳】