来季J1に昇格する山形の呼称の一部「モンテディオ」の改称案などが浮上した問題で、クラブを運営するスポーツ山形21が18日、山形県内で臨時理事会を開き審議した。海保宣生理事長(66)と東北芸工大教授の中山大輔氏(40)が、出羽三山の月山を由来に提案した「月山山形」というチーム名には、否定的な意見が集中。理事会は1時間の予定を1時間20分もオーバーするなど紛糾し、結論は来年に持ち越された。

 実現すれば、Jリーグ初の日本語登録チームとなる「月山山形」案は、理事会の猛反発を受けて事実上の廃案に追い込まれた。出席した理事十数人の大半が「J1昇格で盛り上がる時期に変える必要はない」「モンテディオに愛着がある」と否定的。海保理事長と説得に回った中山氏は「今、山形県で最も批判されてる人間です」と苦笑いしながら「『月山』案は、すごい抵抗に遭い、あきらめかけてます」と肩を落とした。

 チーム名はイタリア語の「MONTE(山)」と「DIO(神)」を組み合わせた造語。96年に県民投票で決まり、広く親しまれてきた。だが海保理事長は、観客動員の抜本的改革として、チーム名も含めユニホームからロゴまで一新する「山形フルモデルチェンジ構想」を発案。2月から中山氏と準備し、7月に3人の副理事長に説明。9月にサポーターとの会合を設けて意見をまとめた。

 その上で理事会に諮ったが、認められなかった。海保理事長は「私と理事たちの間で認識の違いはあったが、何とか変えないと。今後、県民投票で改称する可能性も含めて、改革案を熟成させたい」と継続する意向を示した。来年1月に同理事長、中山氏、理事、サポーターで構成する10人程度のプロジェクトチームを発足。同5月のJ実行委員会への提出=10年からの変更を見据えて審議する。

 一方、中山氏がチーム名のほかに提案した白と黒を基調にした「和」テイストの新ユニホームやロゴ案は前向きに受け止められた。ただ、中山氏は「漢字の愛称を使う私の構想全体がセットで認められなければ提案を断ってほしい」と話しており、改革がどう進むか見通しは立たない。【木下淳】