J1磐田の柳下正明監督(49)が、伝統からの脱却を狙う。3日、磐田市内で行った練習では、指揮官の大きな声が響いた。「できるだけ大きく!

 そして速いボールで!」。選手らに大きくサイドチェンジをするように指示を出し続けた。「今日初めて言った。いかに早くシュートまで持っていけるかが大事」。手数をかけずにチャンスをつくることで、得点力をアップさせるのが狙いだ。

 磐田がこだわり続けたスタイルからの脱却だった。「これまではどうしても短いパスで相手を崩してから、シュートを打っていたから、シュート数が少なかった。それが伝統だった?

 そう。だから長いボールを使って、攻撃をスピードアップさせたい」と、伝統からの脱却を説明した。10対10のゲーム練習では、最終ラインのDF那須やMF成岡から大きく展開。那須は「短いのではなく、一つ飛ばして出せれば楽になる。サイドの選手も動いてくれたからやりやすかった」と、手応えを口にした。

 チームは今日のオフを最後に、21日の清水とのプレシーズンマッチまで、休みなく「17連蹴」が決定している。「疲れが取れたときいいコンディションになる」と同監督。徐々にチームが柳下色に染まっていく。【栗田成芳】