<練習試合:清水2-0札幌>◇14日◇鹿児島・ふれあい運動公園

 札幌クライトンが手応え十分の今季初実戦を終えた。MFクライトン(31)は先発のトップ下で、45分間プレーした。12日から始まった熊本キャンプから合流し3日目。戦術練習などほとんどしていない中、技術と強さで攻撃の中心として存在感を示した。試合は0-2で敗れたが、3月8日開幕仙台戦(札幌ドーム)には万全の状態に持っていけると宣言した。

 得点もアシストもなかった。周囲との連係不足は随所に表れた。しかしクライトンに悲壮感などなかった。「まだ力を出し切れていない部分はあるが、予想していたよりボールにからめた。自分でも驚いたよ。満足している」。むしろ充実感をのぞかせながら、今季初実戦を振り返った。

 チームとの練習は12日からとこの日が3日目。戦術練習はほとんどないまま臨んだ戦いだった。特別な制約は設けられず、トップ下の位置で自由なプレーを許された。連動性は少なくても、ドリブル、パスと果敢に清水ゴールに迫り、予定の30分を超える45分間プレーした。石崎信弘監督(50)は「練習していないんだから」とコンビネーション不足は意に介さず、「攻撃の面にかんしては素晴らしいところがある」とあらためて評価した。

 クライトンをチームの核とすることを石崎監督は明言している。その中でもどの位置を任せるのが効果的かを「試している段階」と説明する。昨季は主にボランチを務めたクライトンだが、トップ下についても「前めで球をもらってプレーするのは得意だから。好きなポジション」と歓迎している。どちらでもこなせるだけに、開幕までの残り実戦4試合で、最良の場を見極めることになる。

 来日遅れで懸念された体調面の不安は、この日一掃した。「10~15日あればベストになると思う」とよりいい状態に持っていける自信はある。石崎監督も「メドは立った」と言った。この日はFWキリノ(24)が左ひざ、MFダニルソン(22)が左内転筋を痛め、出場しなかった。ただいずれも軽症で、石栗フィジカルコーチが「近日中にもフィジカル練習できる見込み」と言うように、見通しは明るい。敗れはしたが、昨季J1の5位チームを相手に〝司令塔〟が存在感を見せた内容から、開幕仙台戦へ伸びしろは多い。【砂田秀人】