浦和が「強気の験担ぎ」で、V奪回のシーズンに臨む。Jリーグが7日に開幕する。史上初の3連覇を狙う鹿島とアウェーで対戦する浦和のフォルカー・フィンケ監督(60)は、早くも優勝祝賀会を想定して日本酒の一斗樽を購入。3季ぶり2度目の優勝へ、チームの士気を高めた。

 浦和再建にかける思いを、前代未聞の験担ぎに込めた。フィンケ監督は、さいたま市内のグラウンドでの最終調整後、ひそかに温めているプランを明かした。「今朝、大きな日本酒のたるを買いました。いい結果を残して、みんなで飲みたいですね」。王座奪還へ自らを奮い立たせるために用意した「勝利の美酒」だった。

 浦和では03年のナビスコ杯初優勝、06年リーグ初制覇、07年アジアチャンピオンズリーグ優勝時に一斗樽が用意された。いずれも、クラブ側が購入し、スポンサー企業の関係者らを招いた祝賀会で鏡開きに使われた。

 関係者も「開幕前に監督が自ら用意するなんて、聞いたこともない」と驚く。就任1年目の外国人指揮官とはいえ、普段から日本の文化や民族性などを勉強しているフィンケ監督。「残念ながら、昨年はアルコールをたくさん飲まなかったようですね」と、6季ぶりに無冠だった昨季からの巻き返しを誓った。

 現段階でやるべきことはやった。この日は右太もも痛で別調整が続いていたDF闘莉王もチーム練習に合流。主力組で実戦形式のメニューをこなし、同監督は「週末は試合に出られるでしょう」と先発起用をほのめかした。Jクラブでは今季最も早い1月12日のチーム始動から、計12試合の練習試合を経て迎える開幕戦。「長い旅路で困難を乗り切れるよう、しっかりカバンに荷物をまとめました。いい試合をして、結果を残したい」。選手たちと祝う歓喜の瞬間を思い描きつつ、敵地へ乗り込んだ。【山下健二郎】