<J1:広島3-1山形>◇第12節◇16日◇広島ビ

 背番号「10」の左足が勝利を呼び込んだ。広島がMF柏木陽介(21)の1ゴール1アシストの活躍で、山形に3-1で快勝した。若きファンタジスタの独壇場だった。試合開始直後の前半8分。MF青山のロングボールを山形MFキムが頭でGKにバックパスするのを予測。「狙い通り」に奪うと、至近距離から左足を振り抜きネットを揺らした。

 観客の視線と拍手を柏木が独占した。直後の同10分にはFKから左足でDF槙野の頭にドンピシャのアシスト。今季は居残りでFK練習に打ち込むなど、磨いた左足の精度を存分に見せつけた。チーム最多タイの3本のシュートを放ち、決定機を何度も演出するなど、ピッチを去る後半41分まで走り回った。

 前節千葉戦に敗れ、球団タイの7戦連続負けなし記録はストップ。昨季J2で勝ち点「22」差をつけた山形に、試合前までは「1」差をつけられていただけに「勝ちしかいらない」と臨んだ。試合後は「落ちるのは早い。これで勢いに乗る」と柏木。知人の結婚式の2次会に出席するため、急ぎスタジアムを後にした柏木の顔は、仕事をやり遂げた充実感を漂わせていた。【佐藤貴洋】