<J1:東京3-0名古屋>◇第17節◇12日◇味スタ

 東京のMF石川直宏(28)が、チームタイ記録の5試合連続ゴールを挙げて、04年以来の日本代表復帰をアピールした。日本代表岡田監督の「御前試合」となった名古屋戦で前半3分、DF3人の間をすり抜け、右足ミドル弾で先制点を挙げ、同34分には右サイドを突破して2点目の起点になり、3-0の勝利に大きく貢献。日本人選手としては02年の高原直泰(当時磐田)以来の、リーグ前半戦終了時点での得点ランク首位ターンとなった。

 一瞬でトップギアに入った石川は、誰にも止められなかった。前半3分、平山のヘッドパスを受けると左から中央にドリブル突破。DF3人を難なくすり抜けた。「ドリブルもシュート軌道もイメージ通り」(石川)という狙いすました右足シュートはゴール右隅へ。日本代表GK楢崎も止められなかった。

 00年のアマラオに並ぶチーム記録の5戦連発で、J得点ランク首位に並ぶ今季10得点目。リーグ前半戦での日本人首位は02年高原以来7年ぶり4人目で、MF初の得点王も夢ではなくなった。視察した日本代表の岡田監督も「調子がいいんでしょう。点を取ったからいいんじゃないですか」と得点力を評価した。

 今季開幕前にFWでテストされた効果が大きかった。本来の右サイドよりもスペースがないためにスピードを減速した分、ボールコントロールと、シュート軌道を考える余裕が生まれた。中央でのプレー時間も増えた。「スピードを出すか落とすかのメリハリは悩んだけど、今は『これだ』というのがある」(石川)。

 MFの役割も忘れていない。前半34分、右サイドを突破してゴール中央に折り返し、FWカボレの追加点の起点となった。日本代表監督の視察にも「(岡田監督が)どう思っているかは分からないですけど、やるべきことはピッチで分かっている」と浮かれるそぶりはない。

 00~01年の横浜時代は、当時のMF中村俊のノールック左足パスに反応できなかった。「パスに動けず、振り返ると俊さんの背中しか見えなかった。今度チャンスがあったら反応したい。それは代表しかない」。ポジションも近い日本代表の司令塔とのプレーを夢見て、石川はゴールを重ねていく。【藤中栄二】