<ナビスコ杯:東京5-1名古屋>◇15日◇準々決勝第1戦◇味スタ

 東京が日本代表DF長友佑都(22)のJ公式戦今季初ゴールなどで、5-1で名古屋を下した。長友は今月に入ってナイトゲーム連戦の影響で極度の睡眠不足に陥り、発熱ダウンまで追い込まれたが、完全復調を証明した。第2戦は29日に行われる。

 鮮やかな弾道を描いた。3-0で迎えた前半26分、長友はぺナルティーエリア左隅で石川からのバックパスをフリーで受けた。ワンタッチ後、両目は約17メートル先にあるゴール枠に照準を定めていた。「今までシュートはカチカチになっていたけど、70~80%ぐらいの力で打てた。うまく抑えられた」。右足で蹴り上げたシュートに敵は動けない。相手GKの両手も届かないほどの弧を描き、ゴール右のサイドネットに刺さった。

 日本代表として5月31日キリン杯ベルギー戦で今季初ゴールは挙げていた。しかし東京ではこの日まで公式戦18戦連続ノーゴールが続いていた。「代表でゴールしているのに、東京で奪えないなんて、怒られちゃうよね」と危機感を募らせていただけに「やっと得点できた。うれしい」と無邪気な笑顔をみせた。

 夏場に入り、長友には大きな悩みがあった。ナイトゲーム後に「アドレナリンの出過ぎ」(長友)で寝つきが悪く、極度の睡眠不足に陥った。徐々に生活パターンが狂い、疲労も蓄積した。体脂肪率を約3%まで絞っている影響で、ウイルスへの抵抗力も弱まっていた。ついに今月6日には38度の発熱ダウンを余儀なくされた。2日後に練習復帰した長友は「代表に入っている以上、過酷な移動とか日程を乗り越えられないといけない」と決意。大好きな居残りトレを控え、早めに練習を切り上げるなどして、疲労回復を優先した。今季初得点は夏場を乗り切るすべを知り、完全復活を証明ための1発だった。

 「ナオ(石川)さんに比べたら、まだしょぼい。ボクの(得点)なんて消えますよ。次も貪欲(どんよく)に狙う。みんなが疲れたらオレが引っ張っていきたい」。5発大勝の東京はチーム記録となる公式戦7連勝。不調を乗り越えた長友が反撃の夏に向かい、再び走りだした。【藤中栄二】