<J1:G大阪3-2神戸>◇第25節◇12日◇万博

 5位G大阪が日本代表MF遠藤保仁(29)を軸に、ミラクル逆転Vに挑む。オランダ遠征から10日に帰国した遠藤は中1日で「阪神ダービー」神戸戦に先発。前半15分に絶妙スルーパスで先制点の起点となり、勝利に導いた。勝ち点42。首位鹿島-2位川崎Fの首位攻防戦が豪雨中止となったため、暫定ながら「勝ち点8差」に接近した。3位広島も横浜を破り、勝ち点43。鹿島と「7差」に。今季残り9節。J終盤戦が風雲急を告げてきた。

 時差ボケも、疲労も言い訳にしない。遠藤がさすがの存在感を見せた。前半15分。右サイドでボールを受けると、神戸DFのわずかなすき間を見つけてスルーパスを送った。橋本からゴール前の二川へ、テンポ良くつないだ「背番号7」が先制点の起点となった。激しい雨の中、詰めかけた観衆1万7205人から、大歓声がわき起こった。後半41分の途中交代まで攻撃陣を操り、4年ぶりの阪神ダービー勝利に貢献した。

 日本代表として出場した9日ガーナ戦から中2日、帰国後は中1日の超過密日程で臨んだ一戦だった。超人的活躍の裏側に遠藤なりの調整法がある。ガーナ戦後はそのままアムステルダムの空港に移動し、成田を経由して帰阪した。約17時間の移動中、実は一睡もしなかった。

 「わざと寝ないんです。オランダを出たのも夜ですけど、大阪に着くのも夜。寝てしまうと、日本に戻ってから寝れなくなって時差ボケになるんで。多少、キツいですけど今後のことを考えたら仕方ない」。機内では必死に睡魔と戦った。「ターミネーター」など映画を4本も見た。徹底したプロ意識だ。

 西野監督も、そんな遠藤を絶賛した。「ヤツは他の選手と(思考)回路が違う。すべてプラスにエネルギーを持って行く。集中度がすごい」。最大19点差もあった首位鹿島との勝ち点差が、暫定ながら8点差まで接近。残り9試合。ミラクルVへ、遠藤がG大阪を引っ張る。【益子浩一】