<J1:東京0-0G大阪>◇第26節◇19日◇味スタ

 奇跡の逆転優勝を狙うG大阪が、痛恨のドローを喫した。終盤の決定機を生かせず0-0で東京と引き分け。西野朗監督(54)が就任した02年以降、敵地・味の素スタジアムでのリーグ東京戦は2分け5敗といまだ勝利がない。首位鹿島が1-2で横浜に敗れたため、勝っていれば暫定で勝ち点5差に急接近していたはずが…。鬼門で3連勝を逃して7差止まり。残り8試合、苦しい戦いは続く。

 秋風が身に染みた。試合終了の笛が響くと、西野監督は唇をかみながら十数秒もベンチ前で動かなかった。終盤にMF佐々木、FW播戸、山崎の攻撃的選手を次々投入。後半42分には佐々木の右クロスに播戸が捨て身のダイビングヘッドでゴールに襲いかかるなど、何度も決定機を作った。しかし1点が、勝利が遠い。西野監督が就任した02年以降、リーグ戦で1度も白星のない味の素スタジアムの東京戦で、また勝てなかった。

 自慢の中盤が機能せず、指揮官はため息ばかりついた。「非常に残念。自分たちがよくなかった。こんなに(中盤で)ミスがあるチームではないのに。ああいう中盤でのボールの失い方はカウンターを浴びる。リアクションが乏しかった」。ハーフタイムには「しっかりつなげ!

 体が動かないなら、ボールを動かせ!」と珍しく声を荒らげたが、呪縛(じゅばく)を解き放つこともできなかった。

 焦りが、重圧になったのか。同時刻に試合に臨んだ首位鹿島は1-2で横浜に敗れ。スコア経過はベンチにも届いていた。勝利なら一時は「19」あった勝ち点差が、暫定ながら「5」に急接近していたはずだった。しかし、痛恨ドローで同「7」止まり。11月28日に鹿島との直接対決を残してはいるが、残り8戦は上位陣が崩れてくれるのを待つしかない。FW播戸は「差を縮めるチャンスやったのに…。もう、うちは全部勝たないといけない」。勝ち点19差からの逆転優勝は、Jリーグの歴史にはない。取りこぼしをしていては、奇跡は起きない。【益子浩一】