清水は29日、長谷川健太監督(44)が来季も続投することを発表した。同監督は05年に就任し、1年目で天皇杯決勝に進出。その後も安定した順位でチーム力を強化し、就任前年は14位と低迷していたクラブを立て直した。さらに現在は、首位鹿島に勝ち点1差の2位と、逆転優勝のチャンスを迎えている。次節10月3日の4位広島との大一番を前に、異例の早期続投発表で追撃体制を整えた。

 逆転優勝に向け清水が「足場」を固めた。J新人監督として05年に就任し、今季で5年目を迎える長谷川監督の来季続投を早くも決めた。昨季は最終節での続投発表で、9月中の早期発表は異例。早川社長は「選手の気持ちを落ち着かせるためにも、早く発表したほうがいいと思った」と説明した。次節は広島との大一番。来季の体制を明確にし、クラブ全体が一丸となって初の「年間リーグ制覇」へ突き進む態勢づくりの狙いもあった。

 クラブからの要請を受け、続投を快諾した長谷川監督は「タイトルも結果も出していないのに、とても光栄です。なんとしても、チームの期待に応えられるように、残り7戦を戦わなければならない」と、あらためてタイトル獲得に向け、決意を口にした。また、早期決定には監督自身の「信念」も影響した。現段階では契約年数や、年俸については未定だが、同監督は「お金で(クラブと)駆け引きしたくない。損するタイプかもしれないけど、昔からそうなんだよね」と、自らの条件より古巣でもあるクラブの要請を優先。さらに「今季、チャンスをつかみ取って、アジアの戦いにチャレンジしたいというのもある」と、来季のACLに出場したいという思いもあった。

 同監督は就任1年目に「復活」というテーマを掲げ、天皇杯準優勝に導き、昨季はナビスコ杯も準優勝。リーグ戦でも1年目こそ15位と苦しんだが、着実にチーム力を強化し、2年目以降は安定した成績を残した。それでも「上位といっても4位が最高。トップ3には入っていない」と満足はない。今季は残り7戦時点で、首位鹿島と勝ち点差1の2位。「可能性がある限り、そこを目指していく」と力を込めた。清水が盤石の「長谷川体制」で初の頂点を狙う。【為田聡史】