<J1:京都1-1大分>◇第30節◇24日◇西京極

 最下位の大分が京都と引き分け、J2降格が決まった。

 昇格から7年。大分に悪夢の瞬間が訪れた。引き分けを告げるホイッスルが、古都の夜空に響くと、選手はピッチにへたり込んだ。鳴き声と怒号が交錯するスタンドにあいさつすると、大分ひと筋10年目のFW高松主将の涙が止まらなくなった。出迎えた溝畑宏社長(49)も泣いた。

 前半6分、MF高橋が先制ゴールを決めた。前半14分には京都DF李が退場したが、同21分に同点とされた。ポポビッチ監督が掲げるパスサッカーでゴールに迫ったが、追加点は奪えない。最後は6戦連続負けなしと粘ったが、Jワースト14連敗の“負債”はどうしようもない。県リーグからスタートし、九州リーグ、Jリーグと昇格を続けたクラブにとって初の降格となった。

 昨季ナビスコ杯初制覇、リーグ4位の躍進からわずか1年。シャムスカ前監督が休暇優先で始動が遅れ、練習不足のまま開幕を迎え、けが人続出。主力の引き留めに約1億円を費やしたことで補強が後手に回って、手を打てないまま敗戦を重ねた。フロントが監督交代をためらっているうちに7月には、1勝1分15敗と絶望的な数字になった。

 高松主将は「自分たちのせいで落ちた。しっかり受けとめやってきたい」と肩を落とした。ポポビッチ監督は「ユベントスも降格したことがある。いい経験ととらえたい」と言い、溝畑社長は「悔しい思いをバネに、1年でJ1に戻る」と話した。しかし、現実は厳しい。大分県から借りるホームの九石ドーム使用料4000万円は半額免除されてきたが、施設の命名権収入がなくなる来季は半額免除の保証がない。スポンサーや観客減で収入が減り、強化費が減るという“負の連鎖”に陥る可能性もある。累積赤字7億円の大分が、1年でJ1に戻るのは容易なことではない。