経験とマネーを、一挙両得だ!

 31日の天皇杯3回戦で明大を迎え撃つJ1山形小林伸二監督(49)が28日、ベスト8を目標に「全試合、主力で戦う」と語った。勝ち点3でJ1残留が決まる今季リーグ戦への影響だけでなく、公式戦を多くこなし成長を促す考えだ。フロントも選手のモチベーションを維持させるため、天皇杯ベスト4以上に支給される賞金の半分を、選手や現場スタッフに支給する。

 優勝や昇格を争うJクラブにとって、シーズン終盤のリーグ戦重視も致し方ないところ。山形にとっても「残留」の2文字は至上命令だ。そんな佳境に行われるカップ戦だが、経験値を高めるために、山形は天皇杯を無駄にしない。

 小林監督

 とにかく、厳しい試合を経験するのが大事。1つ勝ったら“もう一丁”っていうのが必要。これが今後につながる。1試合でも多く、いい経験を積むために、主力で戦う。

 まずはクラブ記録のベスト8(99年)を目指す。指揮官は「殻を破るために、まずはそこ。リーグも(残留が)決まっていないから週1のリズムを崩さないようにする」という。明大を退け、順当なら11月15日の4回戦は新潟戦。リーグ戦では残り4戦しかないJ1勢との対戦を、1つでも増やしたいところだ。

 現場の思いを実現させるためのプランを、偶然にもフロントが用意していた。この日、中井川GMは「天皇杯で取った賞金の半分をチーム(監督以下スタッフと全選手)に渡す」と明かした。リーグ戦を分断する同杯でもモチベーションを維持させ、リーグ戦へも好影響を与える仕組み。“ニンジン”を用意することで試合数を増やしたい-。現場と共通の考えがある。

 賞金対象となるベスト4(2000万円)入りで、1人につき約20万円。今季リーグ戦は10勝で、J2だった昨季と比べ勝利給の総額がわずかにアップしただけのイレブンは、目の色を変えている。二兎(にと)を追って、二兎ともゲット!

 経験とマネーを、モンテ戦士が一気にものにする。【山崎安昭】