浦和が広島MF柏木陽介(21)の獲得に乗り出していることが30日、分かった。今月に入って広島側に獲得交渉を申し入れた。今季深刻化した得点力不足を解消するため、元U-23(23歳以下)日本代表の攻撃的レフティーの獲得を目指す。すでに大分のMF金崎夢生(20)、C大阪のMF香川真司(20)にも同様のオファーを出している。あくまで交渉は11月1日からだが、MF山田直ら現在の戦力とともに「攻撃的中盤」を、巻き返しの軸にする来季の強化構想が見えてきた。

 来季の巻き返しへ、浦和が獲得に動いたのは若きレフティーだった。今季は中盤で崩し切れずに得点力不足に陥った。それをふまえてMFながら今季8得点を挙げた柏木の攻撃力に目をつけた。11月1日の交渉解禁に備え、広島側に今季で契約が満了する柏木の交渉オファーを出していた。

 フィンケ監督の構想にもピタリと合う。シーズン当初、同監督は「左利きの選手が少ない」と嘆いていた。シーズン途中にMF三都主が名古屋に移籍したため、主力MFにレフティーはいない。一方で20代前半から中盤の選手が少ないことも指摘していた。12月に22歳の誕生日を迎える柏木はうってつけの選手。クラブ関係者は「運動量もあるし、得点能力も高い」と評価している。

 今季の浦和は得点力不足に悩んだ。総得点は現時点でJ1の9位。7月から16年ぶりの4試合連続完封負けの屈辱も味わった。引いて守る相手に、中盤で崩し切れなかったことが大きな原因だった。ポンテが4得点、原口、山田直は1得点と主に出場している攻撃的MFの得点も少なかった。

 名古屋も獲得に乗り出している大分MF金崎、オランダ1部VVVから練習参加を要請されているC大阪のMF香川にも同様のオファーを出している。浦和には攻撃的MFにポンテ、梅崎、原口、山田直ら好素材がそろっているが、同関係者は「監督は中盤に複数の優れた選手をそろえ、その時々で調子の良い選手を使いたい意向を持っている」と話す。捲土(けんど)重来へ、浦和が「黄金の中盤」の形成を目指す。