<J1:鹿島5-1G大阪>◇第33節◇28日◇カシマ

 首位鹿島がFW興梠慎三(23)の2ゴールなど今季最多5得点でG大阪を退けた。勝ち点を63に伸ばし、史上初のリーグ3連覇へ王手をかけたが、DF内田篤人(21)が右ひざ半月板損傷、FWマルキーニョス(33)が左太もも肉離れの疑いがあることが判明。勝てば優勝の最終節(12月5日)浦和戦は手負いの状態で臨む。

 3万5000人の大観衆の前で、名将が史上初の3連覇達成を約束した。試合後のホーム最終戦セレモニー。オリベイラ監督は指を3本立て「残り1試合。みなさんが勇気、声援、愛情を注いでくれれば、期待される3連覇を成し遂げられると思う」と言い切った。

 優勝を争うG大阪から最高の勝利を挙げた。後半11分に興梠がMF小笠原のスルーパスを受けて鮮やかな先制点を奪取。野沢の追加点の後、1点を返されたが、同17分に再び興梠が野沢のクロスを合わせダメ押し弾。「1点目はパスを出せと言いました。大一番で2点取れたのが大きい」と満面の笑みを浮かべた。

 鹿島が勝ち、川崎Fがドロー以下なら優勝が決まる状況ながら、選手、スタッフは川崎Fの情報をシャットアウト。会場内の他会場の途中経過放送もやめ、目の前の勝利に集中した。試合後も小笠原は「次も間違いなく厳しい勝負になる」と話し、最終節浦和戦を見すえた。

 だが、G大阪に完勝し、3連覇へ前進した王者に不安も生じた。DF内田が9月に痛めながらひた隠しにしていた右ひざ半月板損傷を悪化させ、後半31分に交代。FWマルキーニョスも左太もも肉離れの疑いが浮上。鈴木満強化部長は「週明けに検査する。(内田)篤人は次はまだ分からない」と現状を明かした。

 オリベイラ監督は試合後の控室でのミーティングで「この1週間が本当に大事だ。100%の状態で戦えるようにケアしてくれ」と選手たちに訴えた。故障者は痛手に違いない。ただ、やることは1つ。浦和に勝つだけだ。内田は「浦和戦は面白い試合になる」と前を向けば、興梠は「自分たちのいつも通りのプレーをするだけ」と言った。決意を固めた手負いの王者は、敵地で前人未到の3連覇をつかみ取る。【菅家大輔】