<J2:仙台1-1愛媛>◇最終節◇5日◇ユアスタ

 “大どんでん返し”で、ついに頂点に立った。ベガルタ仙台がクラブ創設15年目で、J2優勝という初のタイトルを獲得した。首位で臨んだ今季最終戦のホーム愛媛戦。後半20分、DFエリゼウ(30)が先制したが、同ロスタイムに追いつかれて1-1のドロー。2位C大阪も後半ロスタイムに連続失点で敗れたため、うれし恥ずかしの?

 優勝が決まった。来季は勇躍、7シーズンぶりのJ1に殴り込む。

 梁が、手倉森監督が、輝くシャーレ(優勝皿)を何度も突き上げた。勝利は逃しても、この1年の輝きは色あせない。セレモニーであいさつした手倉森監督は「すっきりしない優勝で申し訳ありません。でも、優勝は優勝でーす!」と高らかに発した。

 ユアスタが一時、凍りついた。MF梁の右CKにDFエリゼウが合わせて先制したが、後半ロスタイムに追いつかれた。この時点で勝ち点1差のC大阪は勝っていた。次々と倒れ込む選手。手倉森監督は鬼の形相でベンチを振り返り「セレッソは!」と叫んだ。するとC大阪の失点情報が入り、瞬時に“首位”奪回。今度は、攻撃参加するエリゼウに「下がれ!」と絶叫。試合終了3分後、スタンドからの歓声で“うれし恥ずかし”のV決定の瞬間を迎えた。

 元日本代表MF岩本らを集めて初昇格した01年は、頂点に届かなかった。翌年のサンタナ体制が決まった05年末。手倉森監督は当時のコーチを辞任して育成スタッフへの配置転換を申し出た。「助っ人頼みで真の強さは得られない」。最終的に慰留されたが04年入団の梁、関口、05年の渡辺、富田ら若手を養成した。

 育成の成功でチームの幹も太くなった。一体感を象徴するようにこの数年間、選手だけで決起集会を開いたことがない。FW平瀬は「(かつて在籍した)鹿島も神戸も食事会で意見を言い合ったけど、仙台の一体感なら必要ない」と証言。生え抜きが軸となり、手堅い集団にまとまった。

 頭部強打で試合後、病院に直行したMF千葉も立役者だ。梁や関口は「正直、昇格が目標。優勝までは…」と思っていたが、仙台一筋14年目のMF千葉は優勝にこだわっていた。「成長した後輩に教えることはない。ただ、上を目指すために経験が必要。完全昇格の自信があれば、もっと強くなれる」と説いた通りの結果を残した。

 「J2王者」としてJ1に返り咲く。その前に12日の天皇杯準々決勝。手倉森監督は「川崎Fに勝って優勝します」と宣言した。まだ勢いは衰えそうもない。【木下淳】