今季からJ1に挑む仙台MF梁勇基(28)が、W杯イヤーの第1歩を踏み出した。19日、泉パークタウン練習場で始動。北朝鮮代表として、南アフリカW杯(6月11日開幕)へ出場することを「自分の中で今年1番の目標」と掲げた。昨年末に代表招集され、2月のAFCチャレンジ杯(スリランカ)に出場。同月の宮崎キャンプ不参加が濃厚になったが、今は代表のサバイバルを勝ち抜くことに専念し、夢のW杯を目指す。

 ベガルタ生え抜き初のW杯メンバーへ-。梁が短い言葉に決意を込めた。

 梁

 最後のチャンスやと思うし、自分の中ではW杯に出ることが今年1番の目標。この半年間が、特に重要な期間になると思う。

 昨年末、北朝鮮代表の関係者から2月の選出を伝えられた。正式な日程通知はまだだが、同月上旬に平壌で合宿した後、16日からAFCチャレンジ杯に出場。W杯の本戦メンバーを目指す生存競争が始まる。

 同時にベガルタの延岡、宮崎キャンプ不参加が濃厚になった。梁は「新しい選手が入ってくる中、一緒に練習できないのはマイナス」と認めた上で「グアムとかでコミュニケーションを取りたい」。できる限りの時間で新戦力と交流し、あとは代表での経験をチームに落とし込むしかない。

 昨年12月29日の天皇杯準決勝で敗退した後は、1度もボールを蹴っていない。「去年は1月の代表合宿から年末の天皇杯まで長かった。完全燃焼したから」と静養に専念した。この日の自主トレ初日も40分間走だけで切り上げ「しんどかった(笑い)。でも想定内やし、これから」と調整ピッチを上げていく構えだ。

 44年ぶりに出場する北朝鮮代表は1次リーグでブラジル、ポルトガル、コートジボワールと対戦する。夢の舞台で「死の組」を体験できれば、その経験値は計り知れない。「代表合流に備えて(22日からの)グアムキャンプで追い込みたい」。梁が南アフリカへ向けて走りだした。【木下淳】