「放任」と書いて「じしゅかんり」と読む!?

 J1仙台が2日、公私ともに自立が試される第2次キャンプを、宮崎県延岡市でスタートさせた。筋トレ中心の第1次グアムから、走力向上に着手。「マラソンの町」で、各自が限界を意識した走りを求められる。一方、私生活では、あえて放任される。手倉森誠監督(42)は当初、外出禁止を言い渡す考えだったが「今年は任せたい」。自主性を高めて成長させる腹づもりだ。

 今年の延岡キャンプは、与えられたメニューをこなすだけでは許されない。手倉森監督は「心肺機能が心配」と冗談を飛ばした後、すぐ表情を引き締めた。

 手倉森監督

 去年みたいに「何キロを何分以内で走ればいい」って基準は今年はない。各自に、際どいところでペースを上げさせる。時間を短縮させ続ければ体と同時にメンタルも強くなる。J1にかける必死な思いを表現してほしい。

 陸上の名門・旭化成を抱える延岡。全国のランナーも、この西階陸上競技場で合宿を張る。「ここはマラソンの町。ベガルタもスピードを求めたロングランで鍛える」と指揮官。3日はまず9000メートルを走らせ、徐々に距離を短く、速度を上げるプログラムだ。「悪魔」こと李フィジカルコーチも「合宿中に一応、Kリーグでも上位の1000メートル走3分30秒とか設定するけど、さらに各自で上げさせる」と妥協しない。

 ピッチ外でも自分自身と戦わせる。「今年は子供扱いしない。外出禁止の言葉は使わない」と指揮官。昨年は、その約束を破れば最長で40日間、宿舎に缶詰めにする方針で臨ませた。今年は“監禁”から“軟禁”に変わったが、手倉森監督は「J1に上がって意識も変わったはずだし、自主性を高めたい。キャンプの意図をくめば、外出禁止って言わなくても、普通は外出しないでしょ」と期待を込めて説明した。J1で通用する心身の強さは、自分に打ち勝った先にある。【木下淳】