横浜がエスパニョールの日本代表MF中村俊輔(31)を完全移籍で獲得に乗り出すことになった。嘉悦朗社長(54)は17日横浜市内で、「(中村の代理人と)今週どこかで会うことになると思います」と話し、近日中にも交渉に入る姿勢をみせた。中村はエスパニョールとの契約を1年以上残しており、獲得には移籍金約2億円が必要とみられる。横浜側はすでに資金面の検討も行っているもよう。中村側およびクラブ間の交渉がスムーズにいけば、3月6日のJリーグ開幕までに中村の日本復帰が実現する可能性も出てきた。

 中村の日本復帰に向けた動きが加速してきた。横浜の嘉悦社長はこの日、クラブハウスで「今週どこかで(代理人と)会うことになると思います」と中村獲得に向けた交渉に乗り出すことを明言した。横浜側は前日16日まで、中村側の動きを待つ受け身の姿勢を示していた。ところが同社長はこの日「いろんな仮定をしながら、条件などを含め、どう対応するかシミュレーションしています」と明かし、クラブ内ですでに調整段階に入っていることを認めた。

 「シミュレーション」の内容は明かさなかったが、捻出(ねんしゅつ)できる資金の上限や付帯条件の確認とみられる。中村はエスパニョールとの契約が1年以上残っており、獲得には年俸に加え移籍金約2億円が必要になるとみられる。エスパニョール側はレンタル移籍をほのめかしているが、同社長は「できるだけ長くいてくれるような形を望んでいます」と完全移籍を求める方針だ。

 さらに「現場がどのように考えているか最優先しています」と、木村監督をはじめ現場の意向とも一致していることをにおわせた。同監督もこの日、一般論として「レベルの高い選手ならフィットしようとするし、周りも認める。いい刺激になっていけばいい」と肯定的な見方を示した。

 横浜は昨夏にも中村獲得に動いたが、最終段階で合意に至らなかった。関係者によると、今回も横浜以外に複数のJクラブが水面下で中村側と接触。同社長も「2度と失敗は許されない。身の丈の範囲内で慎重に進める」と話した。一方で「無理はしないが、交渉に時間をかけている場合ではなくなるかもしれない」と早期決着を示唆。中村側との交渉が順調に進めば一気にクラブ間の交渉に入るつもりだ。「私が(スペインに)乗り込まなければならないかもしれない」。中村の7年半ぶりのJリーグ復帰の舞台が、3月6日のリーグ開幕戦になる可能性も出てきた。