ベガルタ仙台が「カメレオン戦法」でJ1戦線に殴り込む。宮崎キャンプ7日目の19日、フォーメーションを変幻自在に切り替える練習を実施。基本布陣「4-4-2」から状況に応じて「4-3-3」などに変更する戦術を試した。MFフェルナンジーニョ(29)ら、複数ポジションをこなせる新戦力の加入で実現。分析力の高い相手に読まれない臨機応変なサッカーを、J1定着の武器にする。

 今季のベガルタ戦士は相手にとって厄介な、つかみどころのない集団になる。この日は「4-3-3」で始め、選手が自由に動き回るシステム変更を確認。FWとMFが入り乱れてゴールに迫った。「どうなるか僕にも分かりません」と手倉森監督。そう笑った上で続けた。

 手倉森監督

 今季は流動的に戦えるメンバーがそろった。リズムが悪ければ『4-4-2』に戻せるし、攻撃に厚みを持たせたかったら『4-2-3-1』にすればいい。ゲームの中で選手に変化させていく。

 新戦力が「カメレオン戦法」を可能にさせた。この日はFWもこなすMFフェルナンジーニョ、攻守のMFができる高橋を起用した。「今季の獲得条件は『複数ポジションをこなせること』だからね」と手倉森監督。一時はトップ下に入ったフェルナンジーニョも「スルーパスが出しやすいね」と歓迎した。

 正面突破だけではJ1で戦えない。それが導入理由だ。昨年の天皇杯準決勝。G大阪に1-2のスコア以上に、内容の差を見せつけられ「MF梁を押さえ込まれて、流動的に戦う大切さを感じた」と指揮官。特定の個人に頼らない戦術がJ1では必要だ。

 選手の反応もいい。MF富田が「やりやすい位置だし、自分が前を向ければ選択肢が増える」と言えば、FW中原も「前線の3人が自由に動き回ることで崩せる」と感じた。MF関口も「バルセロナみたい。今日のオレはメッシだった」とご満悦。新戦法「ベガメレオン」は20日、J1東京との練習試合でベールを脱ぐ。【木下淳】