名古屋DF田中マルクス闘莉王(28)が新天地でスタートを切る。G大阪との開幕戦に向け、5日は愛知・豊田市内で最終調整し大阪入り。居残りでシュート練習もした。「苦しい時に力になれるような存在になりたい。負け試合を勝ち試合にできるよう、思い切ってみんなに声を掛けてやっていく」と臨戦態勢だ。

 6年間在籍した浦和を去った。海外からのオファーもあったが、09年12月11日の初交渉で直接出馬して熱心に口説いてくれたストイコビッチ監督の胸に飛び込んだ。「言葉でどう口説かれたとかじゃない。会いに来てくれた監督の存在が大きかった」。移籍会見では「ストイコビッチ監督を男にするために来た」と言い切った。

 気性は激しいが、おとこ気にあふれる。名古屋側に移籍の意向を伝えた際にも「日本でお世話になった人がいる。その人たちに報告するまで発表は待ってほしい」と願い出たという。絶大な信頼で迎えてくれた指揮官からは、守備のバランスを崩す不安もある攻撃参加についても「闘莉王は賢い選手。攻撃参加はゲームの流れ次第」と判断をゆだねられた。

 信頼には応えなければならない。「プロである以上、勝負にこだわる。自分はスピーチも日本語もうまくない。言葉は少なく、ピッチで見せたい」と闘莉王。闘うリーダーが優勝経験のない名古屋を変え、リーグの主役になる。【八反誠】