日本代表の岡田武史監督(53)が25日、アポなしでコンサドーレ札幌のクラブハウスを電撃訪問した。札幌・宮の沢でのチーム練習中に突然姿を現し、99年から3シーズン指揮を執った古巣を視察。日本代表とは関係のないプライベートでの札幌入りだったが、98年W杯フランス大会でともに戦ったFW中山雅史(42)には「元気でやってるか!」とエールを送り、新天地での復活に燃える大ベテランを鼓舞した。

 突然の登場だった。午前11時半、左肩に黒いショルダーバッグを背負った眼鏡姿の中年男性が札幌・宮の沢の練習場に現れた。紛れもなく岡田監督だった。9年前まで指揮した勝手知るクラブハウス。迷わず関係者スペースまですたすたと入りと、近くのスタッフに「三上(強化部長)いる?」と、リラックスした表情で尋ねた。

 クラブ関係者も知らないアポなし訪問。カジュアルな黒いコートに身を包んだ代表指揮官は、三上強化部長と並んで約30分間、紅白戦などを視察した。練習後は約10分間、石崎監督と談笑していたが、ストレッチを終えたゴンを見つけると、すぐさま指をさし、声をかけた。

 岡田監督

 お、じいさま。元気でやってるか?

 同監督の視線を察知したゴンは、ゆっくり振り返り右手で敬礼のポーズをつくり出迎えた。

 中山

 元気です!

 お久しぶりです!

 鍛えられてます!

 岡田監督

 鍛えられてるって?

 寒さにか?

 中山

 そうですね。寒いけど、いつもアイシングできていいです

 岡田監督

 今年で43歳?

 よく(現役で)頑張ってるね~。オレは98年の監督のときで41歳だったよ

 中山

 いやあ~上には上がいるじゃないですか。キング(カズ)が…

 わずか5分。たわいもない雑談ながら、日本サッカー界を代表する2人の即席トークショーに、見学中のサポーターも大爆笑となった。グラウンドからクラブハウスに上がったゴンは、自ら歩み寄り岡田監督の右手を両手でがっちり包み込むように握手。W杯初出場監督と初得点者が、偶然にもW杯イヤーに札幌での再会を果たした。

 岡田監督は友人に会うための札幌入りで、その流れでの練習訪問だった。私用のため、代表に関しては「プライベートだから勘弁して」と多くは語らなかった。中山自身も「気分転換ですかね。岡田さんもいろいろ周りから言われて大変ですからね。代表入り?

 まず札幌での戦いがある。目の前のことで精いっぱい」と一蹴。今はお互い自分のチームのことに集中するとき。ゴンの目はブレることなく、次節岡山戦だけを見ていた。【永野高輔】