<J1:名古屋1-1新潟>◇第7節◇17日◇瑞穂陸

 怒りの「流血」ドローだ。リーグ4連勝を狙った名古屋が低迷する新潟と1-1で引き分けた。後半38分にDF闘莉王が2試合連続ゴールを決めたが、勝利目前の同44分に追い付かれた。圧倒的に試合を支配しながら得点が奪えない展開に試合中、ドラガン・ストイコビッチ監督(45)の怒りは頂点に達し、右手でベンチをたたいて小指を切り流血。傷は小さかったが指揮官が負傷する異例の事態で、リーグ連続完封も3で止まった。

 傷ついたのは選手でなく指揮官だった。会見では患部を気にするそぶりもみせず「負けるよりはいい」と努めて落ち着いて試合を振り返ったが、怒りで顔面蒼白(そうはく)。無理もない。相手の3倍、15本ものCKを取ったがなかなか得点できなかった。後半22分、MF小川が決定機を逃すとベンチ前でコートを投げ捨て怒りをあらわにした。

 試合後、手当てを受けた同監督は「選手も落ち込んでいたようなので勇気づけた」とロッカー室に戻り、心に傷を負った選手を慰めた。救いは、指揮官のケガが現役時代と変わらぬ華麗な技術を誇る脚ではなかったことか…。とにかく“痛い”引き分けとなった。【八反誠】