<J2:熊本0-0札幌>◇第10節◇2日◇水前寺

 コンサドーレ札幌は熊本に引き分けた。前半はシュート1本とチャンスをつくれなかったが、後半24分、4試合ぶりに途中出場したFW中山雅史(42)がチームを鼓舞。今季最長となる21分間出場し、同36分にはヘディングシュートを放つなど気を吐いた。石崎信弘監督(52)は次節5日の東京V戦(札幌ドーム)での先発起用も示唆。チームは5戦未勝利ながら“ゴン魂”を最大限に活用し、浮上のきっかけをつかみにいく。

 0-0と味気のない試合を、中山が“ゴンスパイス”で刺激的な試合に変えた。後半24分、FWキリノに代わり、4試合ぶりの途中出場。同36分、MF砂川からの左クロスがスイッチとなった。1度右サイドに開いて気配を消すと、忍者のように再びゴール前に飛び込み、頭で合わせた。開幕鳥栖戦以来、自身今季2本目のシュートはわずかにゴール右に外れ、サイドネットに刺さった。

 「コースはなかったんだけど。もう少し枠にたたきつけるつもりだった」。3分後には、MF藤田の右クロスを後ろに流した。熊本DFにボールが当たり、あと少しでオウンゴールというシーンも誘発。前半はシュート1本とかみ合わなかったが、背番号9が加わった途端、得点臭が漂うチームへと様変わりした。

 主力FW陣は3月28日の岡山戦以来、5試合連続無得点。沈滞ムードを打開するため、石崎監督は「(中山の)スタートからの起用?

 今のFW陣の調子なら、それもありかなと考えている」と、移籍後初の先発起用をほのめかした。FW陣は今季9試合でわずか3点。指揮官も攻撃陣へのテコ入れの一策として、ベテランの力に頼る考えを示した。

 チームメートもそろってゴン効果を口にした。MF宮沢は「あの時間帯は気持ちが切れそうな時間帯だが、ゴンさんがいると気持ちで引っ張ってくれる。後ろにいても、つられて足が前に出る」と言った。精神的なプラス効果だけではない。2トップを組んだ近藤は「中山さんの動きは面白いし、中に入ってくれるとチャンスになる」と戦術的効果も感じ取っていた。

 中山にとって、会場の水前寺競技場は12年前に3試合連続ハットトリックを達成した舞台。再現とはいかなかったが、初得点へのきっかけを感じさせる貴重な21分となった。「失点ゼロは収穫、得点ゼロは反省。あとは攻めのバリエーションを増やしていければ」。何かを期待させる42歳。ゴンゴールは、もうすぐそこまで近づいている。【永野高輔】