清水のMF本田拓也(25)が注目の静岡ダービーでも「脇役」に徹する。W杯で大活躍した同姓で同学年の日本代表MF本田圭佑(24=CSKAモスクワ)のような派手さはないが、通好みの地味ながらも渋いプレーで、首位のチームを再開戦白星発進に導く。

 “清水の本田”の仕事は渋い。ダービーを2日後に控えた15日の守備練習でも、次々に相手の攻撃の芽を摘んだ。奪ったボールは素早く前線へフィード。守備から攻撃、攻撃から守備への「スイッチ役」を、淡々とこなした。「僕の仕事は、まず相手の攻撃をつぶすこと。でも、ボールを奪うだけじゃダメ。奪った後、どうするかを中断期間の課題としてやってきた」。リーグ再開初戦に向け、万全の準備を整えた。

 そのスタイルは、同学年の日本代表MF本田圭とはあまりにも対照的だ。「圭佑は、自分にプレッシャーをかけて、有言実行しちゃうからすごい」と絶賛しても、自らはビッグマウスにはほど遠い。もちろん「魔球」と称されるほどの直接FKもない。それでも「チームにとって欠かせない男」という一点で、2人の本田は共通している。DFボスナーも「(本田)タクはチームのエンジン。中心になっている」と、誰もが絶対の信頼を寄せている。

 首位で迎える大事なリーグ戦再開初戦も、本田はいつも通り脇役に徹する。「(磐田FWの)前田さんは、いいボールが入れば何でもできる人。だから、コースを消していく」と相手エースへのパスコースを遮断する。攻守において、ゴール前の攻防の「1歩前」が持ち場だ。開幕からチームで唯一、フルタイム出場を続けている。スポットライトを浴びて、キラキラ輝く金ではなくても、本田はダービーで「いぶし銀」の輝きを放つ。【為田聡史】