元アントラーズの仙台FW平瀬智行(33)が、11日のアウェー鹿島戦で古巣に健在を示す。4月のホーム戦は出場機会がなかったが、今回は途中出場が確実。かつて名声をほしいままにしたカシマスタジアムに戻り、96年から04年まで所属したクラブから「対鹿島初ゴール」を奪う。

 「ワクワクするよね」。口調は穏やかでも、高まるものがある。古巣鹿島戦。この日は元代表のMF中田浩二と電話し、懐かしみつつ静かに闘志を燃やした。

 平瀬

 4月も野沢から「ヒラさん試合に出るんすか?」って電話がかかってきた。出場停止で(小笠原)満男が出られないのは残念だけど、楽しみたい。鹿島はプロ人生をスタートさせたクラブだから。多くの素晴らしい選手と出会えた。

 00年にはリーグ、ナビスコ杯、天皇杯を制しJ史上初の3冠を達成。自身はチーム最多の11得点を挙げ、カシマスタジアムで何度もスポットライトを浴びた。

 平瀬

 会場の雰囲気が最高。ベガルタのユニホームを着て立つのは複雑な気分だね。あのピッチで何度も優勝できたし、いい経験ばかり積ませてもらったよ。

 この日は偶然、鹿島時代にコーチとして教えを受けた関塚隆氏(現日本代表コーチ)が練習場を訪れた。

 平瀬

 プロの心得を学んだ。ピアスをしたら「耳の穴がスースーする人間は風邪をひく」。金髪にしたら「鹿島のルールでは禁止だぞ」って怒鳴られたり。でも居残り練習に付き合ってもらったし、鹿島では本当に成長させてもらったよ。

 出場はリーグ7戦ぶりだが、古巣戦に照準を合わせたかのように状態はいい。

 平瀬

 (5日の天皇杯で)109分間プレーして(8日の)ナビスコ杯でも途中から38分間。ずっと試合に出てなくて難しかったけど、感覚を取り戻すことができた。力を出し切れる。

 対鹿島は過去8戦で無得点。今度こそ古巣から初ゴールを奪い、痛快に恩返しするつもりだ。【木下淳】