横浜FCのFWカズ(三浦知良=43)が、ドルトムントの日本代表FW香川真司(21)の活躍を刺激に、現役続行を宣言した。26日、クラブの学校訪問授業「夢で逢えたら」で横浜市立坂本小の教壇に立った。若い世代との交流を機に来季への意欲を強くし、ブンデスリーガで活躍中の香川を絶賛。08年に当時C大阪でプレーしていた香川とジャージーを交換したことを振り返り、今後の発奮材料として、ドルトムントのジャージーを送るよう直接連絡する考えを明かした。

 子どもたちと夢を語り合ううちに、かつての自分のように海外で新たな挑戦を始めた若者を思い、そして「43歳の夢」が膨らんだ。現役最年長Jリーガーとして約45分間、小6児童を前に教壇に立ったカズは「1日、1年でも長く、プロとしてグラウンドに立ちたい。できることなら来年、再来年もやりたい」と現役続行への決意を固めた。

 プロ選手として、まだまだ若い世代に負けるわけにはいかない。今季序盤に故障などで長期離脱し、ここまで計6試合、51分間の出場にとどまっている。厳しいシーズンを戦う中で、励みとなったのが若手の活躍。中でも、W杯南アフリカ大会後にドルトムントへ移籍した香川に刺激を受けた。「技術的に通用するのは当たり前のことだけれど、向こうに行って認めてもらうのは大変なこと。うれしく思う。2年前から注目していましたから」。

 08年4月、C大阪に所属していた香川と対戦したときのことだった。将来性を期待していたカズは、前半終了直後に香川を呼び止め、着ていた背番号11のジャージーを贈った。日本サッカー界をけん引してきた男と、次世代を担う若者との間で生まれた、年の差22歳の縁だった。カズは当時を振り返るうちに「僕はドルトムントのユニホームがほしい。直接(香川に)頼みます」と思い立った。香川の汗がにじんだ一品は、ブラジル、日本、イタリア、クロアチアと世界を渡り歩いてきた自分自身のチャレンジャー精神を、大いに刺激してくれるに違いない。

 コンディション不良に苦しんでも、戦う準備を怠らなかった。8月7日の岡山戦、9月26日の富山戦でゴールを決めるなど勝負強さは健在だ。シーズン終了とともに横浜FCとの1年契約も満了するが、現役続行へ、毎年が勝負。「7、8年前は、プロサッカー選手を目指す子が1クラス3、4人はいた。最近は1人くらいになってしまった」というカズ。トップランナーとして、やるべきことがある。【山下健二郎】