<プレナスなでしこリーグ:仙台1-5INAC神戸>◇第6節◇27日◇宮城スタジアム

 やはり役者が違った!

 INAC神戸MF澤穂希(34)が、左ふくらはぎ筋挫傷からの2週間ぶりの復帰戦で、いきなりゴールを決めた。アウェー仙台戦の後半17分から途中出場。ロスタイムにクロスに滑り込んで右足で押し込み、圧勝劇を締めくくった。次々と若手が台頭し、無敗記録を43試合に伸ばした無敵の女王にあっても存在感は別格だ。

 ゴールを確認すると、澤は小さく右拳を握った。3点リードで迎えた後半ロスタイム。それでも、ケガ明けの34歳は泥くさく体を張って5点目を奪い、感情をあらわにした。「楽しくできたけど、自分のコンディションはまだまだ。前節やってなかったから、息が上がっちゃった」。13日の岡山湯郷戦で左ふくらはぎの張りを訴え、25日から通常メニューに合流したばかり。シュートはこれ1本。辛口の自己採点だったが、4-0から1点を返されたチームを引き締める一撃だった。

 19歳の田中陽が先制点を奪い、18歳のルーキー道上が初スタメン。澤の得点を演出したのは、こちらも19歳の仲田だった。充実した戦力を誇るINAC神戸だけに当然、若手の台頭は著しい。澤自身はそんなチームの一体感を高めるべく、労を惜しまない。プライベートでは自宅に川澄や田中明、チ・ソヨンらを招いて料理を振る舞うこともあるという。そして試合になれば、気迫あふれるプレーでけん引。ピッチ内外で影響力は際立つ。

 澤が欠場した伊賀戦は勝ちこそしたが、シュートはわずかに3本。この日は昨季2部を22戦無敗で制し、昇格後もここまで5試合負けなしの仙台を全く寄せつけなかった。状態が万全ではなかった目下得点王のゴーベル・ヤネズを温存して、だ。「内容を見れば課題は多いし、やらなきゃいけないことはたくさんある。その中で勝ち点3を取れているのは大きい」。勝負に貪欲な大黒柱が戻ってきた無敵軍団に、もはや死角らしきものは見当たらない。【亀山泰宏】